目次

エンドポイントプロテクションは、企業のIT環境において重要な役割を担うサイバーセキュリティソリューションです。PC・スマートフォン・タブレットなどの端末を保護し、データの機密性と完全性を確保します。


本記事では、エンドポイントプロテクションの基本から最新動向、導入のポイントまでを網羅的に解説します。


ビジネスの生産性とセキュリティのバランスを取りながら、効果的なエンドポイント対策を実現するために、お役立てください。

エンドポイントプロテクションの説明図

1.エンドポイントプロテクションの基本と重要性

エンドポイントプロテクションの基本と重要性

まずは、エンドポイントプロテクションに関する基本事項から確認していきましょう。

  1. エンドポイントプロテクションの定義と対象範囲
  2. エンドポイントプロテクションと関連ソリューションの関係図
  3. 最新のサイバー脅威とエンドポイントプロテクションの必要性

1-1.エンドポイントプロテクションの定義と対象範囲

前述のとおり、エンドポイントプロテクションとは、企業のITインフラにおいて、ネットワークに接続された端末を保護するセキュリティ対策の総称です。


マルウェア対策・脆弱性管理・デバイス制御など、多岐にわたる機能がエンドポイントプロテクションに含まれます。


保護対象となるエンドポイントには、社内の業務用PCやスマートデバイスのほか、リモートワークやBYOD(Bring Your Own Device:私物デバイスの業務利用)で使用される私物端末や、クラウドサービスに接続する端末も管理範囲に入ります。

【エンドポイントプロテクションの対象範囲】

  • 業務用デスクトップPC:オフィスで使用される、従業員に支給された業務専用のデスクトップPCを保護します。
  • モバイルデバイス:業務で使用するスマートフォンやタブレット端末などのモバイルデバイスをセキュリティ脅威から守ります。
  • リモートワーク端末:在宅勤務やモバイルワークで使用される、社外からアクセスするPCやスマートデバイスのセキュリティを確保します。
  • IoT(Internet of Things)デバイス:ネットワークに接続された各種のIoT機器を、不正アクセスやサイバー攻撃から保護します。

エンドポイントプロテクションは、こうした幅広いデバイスに対して、統合的なセキュリティ機能を提供します。


近年のITシステムの利用形態の変化に合わせた、柔軟なセキュリティ管理がポイントです。

1-2.エンドポイントプロテクションと関連ソリューションの関係図

「エンドポイントプロテクション(EP)」の文脈では、EPP・EDR・XDR・NGAVといったソリューションや概念が登場します。これらの意味を整理しておきましょう。

エンドポイントプロテクションと関連ソリューションの関係図

【エンドポイントプロテクションと関連ソリューション】

  • エンドポイントプロテクション(EP):PCやスマートフォンなどの端末を守るための包括的な概念です。以下のさまざまなソリューションを包含します。
  • MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理):おもにスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスの管理とセキュリティを提供します。
  • UEM(Unified Endpoint Management:統合エンドポイント管理):PCやモバイル機器、IoTデバイスなど、あらゆる種類の端末を一元的に管理し、セキュリティを確保します。
  • EPP(Endpoint Protection Platform:エンドポイント保護プラットフォーム):ウイルス対策、ファイアウォールなどの基本的なセキュリティ機能を提供します。
  • EDR(Endpoint Detection and Response:エンドポイントでの検知と対応):高度な脅威への対策に特化し、異常を素早く見つけ出し対処します。EDRは、企業のセキュリティを強化するための基本的なソリューションであり、多くの企業にとって重要です。
  • NGAV(Next-Generation Antivirus:次世代アンチウイルス):AIや機械学習を使って、新種の脅威も効果的に検出・防御します。高度な脅威検知を行いますが、その分設定や運用が難しくなることがあります。
  • XDR(Extended Detection and Response:拡張検知と対応):EDRを拡張し、端末以外のデータも分析してより包括的に脅威に対応します。複数のセキュリティレイヤーを統合して管理するため、システムが複雑になりやすくなります。

さまざまなソリューションがあるため、混乱してしまうという方もいるでしょう。


そこで、上記のソリューションのうち、これから初めてエンドポイントプロテクションに取り組む企業がまず着手すべきものをあげるなら、「EDRの導入」です。


なぜなら、高度な脅威検知能力と迅速な対応機能を兼ね備えたEDRは、高度な保護機能を提供しつつ、XDRやNGAVほどの複雑さがなく、多くの企業にとって最適なバランスを実現するソリューションだからです。


EDRについて詳しくは、以下のページで解説していますので、あわせてご覧ください。


おすすめ記事:EDRとは?【EDR導入の全貌を解説】効果的な脅威対策を実現する方法


クエストは、EDRの導入支援に加え、複雑化する運用についてもサポートをしております。また、クエストではEDRだけに留まらず、包括的なセキュリティ対策を支援しておりますので、セキュリティでお困りのお客様は是非当社にご相談ください。

1-3.最新のサイバー脅威とエンドポイントプロテクションの必要性

2010年代半ば以降、エンドポイントプロテクションは次世代のセキュリティ対策として注目され、急速に普及が進んでいます。


背景には、サイバー攻撃の巧妙化・複雑化があります。とくに近年では、以下のようなリスクへの対策が必要不可欠です。

【エンドポイントを脅かす最新の脅威】

  • ランサムウェア:端末のファイルを勝手に暗号化し、「身代金」を要求するマルウェア。身代金を払っても復号できない例もあります。
  • 標的型攻撃:特定の企業や組織を狙い、綿密に計画された攻撃。ゼロデイ脆弱性(発見されたばかりの脆弱性)を突いたマルウェア感染などが用いられます。
  • フィッシング詐欺:正規のWebサイトや送信元を装い、個人情報やクレジットカード番号の入力を誘導します。メールの添付ファイルからマルウェア感染するケースもあります。
  • 内部不正による情報漏洩:従業員や委託先による意図的・偶発的なデータ持ち出しによる漏洩も深刻な脅威です。USBメモリやクラウドストレージの私的利用などが原因として挙げられます。
  • クラウドサービスへの不正アクセス:クラウド上の業務アプリへの不正ログインにより、機密情報が窃取や改ざんされるリスクが高まっています。

こうした脅威は、いずれもエンドポイントの防御が突破されることで発生します。


高度なエンドポイントプロテクションの導入により、サイバー攻撃のリスクを最小限に抑えつつ、安心・安全なIT環境を実現することが強く求められています。

2.エンドポイントプロテクションの活用で実現する企業価値

エンドポイントプロテクションの活用で実現する企業価値

エンドポイントプロテクションの導入は、単にサイバー攻撃のリスクを低減するだけではありません。ビジネス面でのさまざまなメリットをもたらし、企業価値の向上に寄与します。


エンドポイントプロテクションがビジネスに与える影響を確認しておきましょう。5つのポイントを解説します。

  1. サイバー攻撃からの包括的な防御体制の構築
  2. コンプライアンス対応強化と監査対策への貢献
  3. リモートワーク環境でのセキュリティ確保
  4. インシデント対応時間の短縮によるビジネス継続性向上
  5. 統合セキュリティ戦略の強化

2-1.サイバー攻撃からの包括的な防御体制の構築

1つめは「サイバー攻撃からの包括的な防御体制の構築」です。


巧妙化するサイバー攻撃から企業を守るには、多層防御(複数のセキュリティ対策を組み合わせた重層的な防御)の視点が欠かせません。


エンドポイントプロテクションを軸に多層防御を実装すれば、包括的なセキュリティ体制を構築できます。

【多層防御のポイント】

  • エンドポイントでの未然防止:マルウェア対策や脆弱性管理によって、侵入と実行を防ぎます。
  • ネットワークでの遮断と検知:ファイアウォールやIPS/IDS(不正侵入防止/検知システム)を使い、不正通信をブロックします。EDR(エンドポイントでの検知と対応)との連携で脅威を可視化します。
  • アプリケーション層の保護:Webアプリケーションファイアウォールによって攻撃を遮断します。DevSecOps(セキュリティを開発工程に組み込む手法)の実践でアプリの堅牢性も向上します。
  • インシデント発生時の迅速対応:SOAR(セキュリティオーケストレーション・自動化・応答)によって自動対応します。訓練されたCSIRT(シーサート:インシデント対応チーム)の設置も有効です。
  • ゼロトラストの考え方の導入:「信頼せず、常に検証する」という原則のもと、アクセス制御を厳格化します。

これらの対策を有機的に組み合わせて、多方面からの攻撃を防げば、もし侵入されても素早い検知・遮断が可能です。エンドポイントプロテクションは、この多層防御において要の役割といえるでしょう。


ゼロトラストについては、以下の記事もあわせてご覧ください。


参考コラム:ゼロトラストセキュリティとは? 【2024年版_徹底解説】実現の要件とソリューションを紹介

2-2.コンプライアンス対応強化と監査対策への貢献

2つめは「コンプライアンス対応強化と監査対策への貢献」です。


サイバー攻撃への備えは、単に技術的な問題にとどまりません。個人情報保護法をはじめとする法規制の遵守や、情報セキュリティ監査への対応力も問われます。


この点で、エンドポイントプロテクションが果たす役割は小さくありません。

【エンドポイントプロテクションによるコンプライアンス対応】

  • 法規制上の安全管理措置の履行:個人情報保護法などで求められる技術的な安全管理措置を、エンドポイントプロテクションで適切に実装できます。
  • 情報漏洩の防止と早期対処:機密データの漏洩を防ぐとともに、万一の漏洩時には迅速な検知と対応が可能です。
  • 内部不正対策の強化:従業員による情報の不正利用や持ち出しを防止し、内部脅威から企業を守ります。
  • IT統制の基盤としての活用:エンドポイントの可視化と一元管理により、IT統制(ITに関する方針・手続の整備と運用)の基盤として役立ちます。
  • グローバル規制への対応:GDPR(EU一般データ保護規則)などの海外の法規制にも、エンドポイントプロテクションは有効です。

エンドポイントプロテクションは、企業に課せられた説明責任を果たすうえで強力な味方となります。


高度な端末保護の仕組みは、法令順守のエビデンス(証拠)となり得るのです。

2-3.リモートワーク環境でのセキュリティ確保

3つめは「リモートワーク環境でのセキュリティ確保」です。


コロナ禍を契機に、リモートワークの導入が急速に進みました。しかし、社外から企業システムにアクセスする機会が増え、セキュリティ上の新たなリスクも発生しています。


この問題に立ち向かううえで、エンドポイントプロテクションの存在感は増しています。

【リモートワークにおける端末保護の重要性】

  • BYOD(Bring Your Own Device:私物デバイスの業務利用)への対応:従業員の私物端末を安全に管理し、データ漏洩を防ぎます。
  • VPN(Virtual Private Network:仮想プライベートネットワーク)の脆弱性を突かれるリスクの低減:VPNの隙を突く攻撃から端末を守ります。
  • 自宅での不正使用の防止:社外での業務端末の私的利用や、家族による誤操作を防止します。
  • フィッシング攻撃への警戒:リモートワーク中の従業員を狙ったフィッシングメールなどから、端末を保護します。
  • クラウドサービスの安全利用:社外からのクラウドアクセスを安全に管理し、不正アクセスを防ぎます。

リモートワークは、新型コロナ収束後も多くの企業で継続・拡大が続いています。「ニューノーマル」時代のセキュリティ対策の要は、エンドポイントの堅牢化にあるといえるでしょう。

2-4.インシデント対応時間の短縮によるビジネス継続性向上

4つめは「インシデント対応時間の短縮によるビジネス継続性向上」です。


サイバー攻撃の脅威は、その検知の遅れによって深刻化します。侵入に気づかないまま被害が拡大するケースは、数多く存在します。

だからこそ、インシデントの予兆をいち早く察知し、迅速に対処することが極めて重要なのです。

エンドポイントプロテクションは、まさにこの「検知」と「レスポンス」に優れた能力を発揮します。

とりわけ、前述のEDR(Endpoint Detection and Response:エンドポイントでの検知と対応)は、高度な脅威を見抜き、自動対応や早期の封じ込めを実現します。

EDR(Endpoint Detection and Response:エンドポイントでの検知と対応)の説明図

【EDRによるインシデント対応力の強化】

  • リアルタイムな可視化と監視:エンドポイントの動作を常時モニタリングし、異常を即座に検知します。
  • AIによる相関分析と自動アラート:複数の兆候を関連づけて分析し、インシデントの予兆を自動で警告します。
  • インシデント発生時の自動対応:感染拡大を防ぐため、システムを自動で隔離したり、マルウェアを駆除したりします。
  • フォレンジック(デジタル証拠の収集・分析技術)の支援:インシデント発生時の記録を保全し、原因究明に役立てます。

サイバー攻撃は、もはや「起きたら終わり」ではありません。いかに早く気づき、的確に対処するかが勝負を分けるのです。


インシデントレスポンスの高度化は、ビジネス継続性の問題なのだと認識すべきでしょう。EDRの導入を通じて、レジリエンス(回復力・弾力性)の高い企業を目指すことが経営層に求められています。


EDRの具体的な製品としては、AIによるリアルタイム検知を実現する『Cybereason EDR(サイバーリーズン)』があります。

エンドポイントセキュリティ Cybereason EDR/MDRの説明図

EDRについて詳しくは、以下のページにてご確認ください。


AIセキュリティ「EDR」─ AIや機械学習による不正検知と対応を実現

2-5.統合セキュリティ戦略の強化

5つめは「統合セキュリティ戦略の強化」です。


これからのサイバーセキュリティ戦略には、全社横断の視点が不可欠です。部門ごとのバラバラな対策では、全体最適は望めません。


ネットワークからエンドポイント、クラウド利用に至るまで、包括的な防御の体系を構築する必要があります。


この統合セキュリティの取り組みにおいて、エンドポイントプロテクションは土台となる基盤の役割を担います。守るべき情報資産の多くは、端末を起点に行き来するからです。

【統合セキュリティ戦略におけるエンドポイントプロテクションの意義】

  • 情報資産保護の要:エンドポイントは情報資産の集積地であり、その防御は統合戦略の根幹をなします。
  • ネットワークセキュリティとの連携:エンドポイントの異常検知とネットワーク側の防御の連動によって、多層防御の効果を高められます。
  • リモートアクセスの安全確保:社外からのアクセスを安全に管理することは、ニューノーマル時代の重要課題です。
  • ユーザー教育との相乗効果:エンドポイントでの防御とユーザーのセキュリティ意識向上が相まって、組織の防御力が高まります。
  • セキュリティ投資の最適化:エンドポイント対策を起点に、戦略的なセキュリティ投資計画を立てられます。

エンドポイントは、ビジネス情報の玄関口であり、格好の攻撃対象でもあります。


それだけに、エンドポイントプロテクションを入り口に、組織に浸透するセキュリティ文化を育んでいくことは、総合セキュリティの核心といえます。


以上、5つのポイントを解説しました。

エンドプロテクションの活用で実現する企業価値の説明図

続いて以下では、技術面を掘り下げて見ていきましょう。

3.最新のエンドポイントプロテクション技術

最新のエンドポイントプロテクション技術のイメージ図

エンドポイントプロテクションは、AI(人工知能)や機械学習の発展とともに、めざましい進化を遂げています。


ここで先進の技術動向を整理しておきましょう。以下4つのポイントを解説します。

  1. AI・機械学習による未知の脅威への対策
  2. 振る舞い分析による検知と対応の自動化
  3. クラウド活用によるシームレスな防御
  4. 暗号化とデバイス制御によるデータ保護

3-1.AI・機械学習による未知の脅威への対策

1つめのポイントは「AI・機械学習による未知の脅威への対策」です。


AIを活用した検知なら、従来よりも広範囲の異常行動を捉えられます。機械学習により、正常なシステム挙動を包括的に学習し、未知の脅威や新たなマルウェアによる異常を検出します。

【AI・機械学習を用いた検知の特徴】

  • 柔軟な対応と動的な防御:パターン認識により新種や亜種の脅威に対しても効果的に対応します。機械学習モデルの更新により、常に最新の脅威に対する防御力を維持します。
  • ファイルレス型マルウェア(ファイルを作成せずメモリ上で直接実行されるマルウェア)への対応:ファイルを作成せず、メモリ上で直接実行されるマルウェアも検知可能です。
  • 誤検知の低減と運用負荷の軽減:正常ファイルの学習により、誤検知によるアラートが低減し、対応工数を大幅にカットできます。
  • 自動調査と分析レポートの生成:AIが自動的に脅威を調査し、専門家でなくても状況の把握が容易になります。


これらの特徴により、脅威への対応力が格段に向上します。また、無害なプログラムを的確に判別し、アラート対応の工数を減らせるのも大きな魅力です。

3-2.振る舞い分析による検知と対応の自動化

2つめのポイントは「振る舞い分析による検知と対応の自動化」です。


振る舞い分析(ビヘイビア分析)は、実行時のプロセスの挙動に着目し、ベースライン(正常時の標準的な振る舞い)から逸脱した不審な動きをいち早く察知します。

【振る舞い分析の特徴】

  • リアルタイム検知:コードを頻繁に変種させるマルウェアでも、怪しい振る舞いをリアルタイムに検知できます。
  • 未知の脅威への対応:未知の脅威や亜種・新種にも、先手を打って立ち向かえます。
  • 自動アラートと対応:異常検知時に自動でアラートを発報し、感染端末の隔離やネットワーク遮断などの自律的な対応アクションも実行します。
  • インシデント対応の効率化:フォレンジック(証拠保全)の自動化により、原因究明や影響範囲の特定を大幅に効率化できます。


Cybereason EDR のように振る舞い分析を活用したEDRは、未知の脅威への対応力と、インシデント発生時の自動対処能力に優れています。

アナリストによる脅威ハンティング(専門家が潜在的な脅威を能動的に探索すること)と組み合わせ、表面化していない潜在リスクを洗い出し、インシデントの芽を早期に摘むことも可能です。

3-3.クラウド活用によるシームレスな防御

3つめのポイントは「クラウド活用によるシームレスな防御」です。


クラウド型のエンドポイントプロテクションは、運用管理の負荷を大幅に軽減し、シームレスな防御を実現します。

【クラウド型保護のメリット】

  • 自動更新:シグネチャ(既知のマルウェアの特徴を登録したデータベース)の管理はクラウド側で一元化され、自動更新により隙のない防御態勢を常時維持できます。
  • リアルタイムなポリシー適用:ポリシー(セキュリティ運用の指針や規則)設定の変更がクラウド経由ですべての端末に即座に反映され、機動的な運用が可能です。
  • 軽量な端末エージェント(端末に常駐しクラウドと連携するソフトウェア):端末側には最小限の機能しか持たせないため、アプリとの競合を避け、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えられます。
  • スケーラビリティと拡張性:クラウド基盤のリソースを活かし、端末の増減にも柔軟に対応できます。
  • グローバルな脅威インテリジェンス(サイバー脅威に関する情報収集・分析・共有):世界中の脅威情報をクラウドで収集・分析し、ゼロデイ攻撃の兆候をいち早く察知できます。


クラウドを活用したエンドポイントプロテクションでは、運用管理の効率化と高度な防御機能の両立が可能です。


多様化するワークスタイルを支える、ニューノーマル時代のスタンダードとなるでしょう。

3-4.暗号化とデバイス制御によるデータ保護

4つめのポイントは「暗号化とデバイス制御によるデータ保護」です。


情報漏洩のリスクに立ち向かううえで、暗号化とデバイス制御が大きな威力を発揮します。

【暗号化とデバイス制御の要点】

  • ファイル・フォルダ単位の暗号化:機密ファイルを個別に暗号化し、権限のないユーザーからのアクセスを防ぎます。
  • ドライブ全体の暗号化:ハードディスクやUSBメモリ全体を丸ごと暗号化し、盗難・紛失時の情報漏洩を防止します。
  • デバイス利用の制御:許可されたデバイス以外の利用を禁止し、私物USBメモリの接続などを制限します。
  • アプリケーション実行の制御:許可されたアプリ以外の実行を禁止し、不正ソフトのインストールを阻止します。
  • 操作ログの取得と監査:ファイルやフォルダへのアクセス記録を取得し、内部不正の抑止と追跡に活用します。


暗号化とデバイス制御を適切に組み合わせ、機密情報の窃取・流出を水際で防ぐことが肝要です。


リモートワーク時代のエンドポイントセキュリティ強化には、マルウェア対策と表裏一体で、データ保護の徹底が欠かせません。


以上が、最新のエンドポイントプロテクション技術の4つの柱です。

エンドポイントプロテクション技術の説明図

これらの先進技術を融合し、多層的な防御を展開することが、エンドポイントプロテクションの概要となります。

4.エンドポイントプロテクションの具体的な製品と導入手順

エンドポイントプロテクションの具体的な製品と導入手順のイメージ図

エンドポイントプロテクションを実際に導入するには、自社に最適な製品を選定し、計画的に展開していく必要があります。


ここでは、エンドポイントプロテクション製品の例と、導入のステップを簡単に解説します。

  1. 主要ベンダーの製品と特徴
  2. エンドポイントプロテクションの導入手順

4-1.主要ベンダーの製品と特徴

エンドポイントプロテクションの代表的なベンダーと、その主力製品を見てみましょう。

ベンダー名 主力製品 特徴
Cybereason Cybereason EDR リアルタイムのデータ収集・分析で高度な脅威ハンティングを実現。AIによる自動調査・分析機能に加え、直感的なユーザーインターフェースが秀でている。
Symantec (Broadcom) Symantec Endpoint Security 包括的なエンドポイント保護を提供する老舗ソリューション。
トレンドマイクロ Apex One 高い検知力と多層防御で、未知の脅威からエンドポイントを守る国産ソリューション。
CrowdStrike Falcon Enterprise クラウドネイティブで、AIを活用した脅威ハンティングと迅速な対応を実現。
Microsoft Microsoft Defender for Endpoint Microsoft製品との連携が容易で、包括的なエンドポイントセキュリティを提供。

上記のうち、当社がおすすめしている代表的なEDR製品をひとつ挙げると、『Cybereason EDR』です。


EDR市場占有率 5年連続ナンバー1(*1)を誇る次世代エンドポイントセキュリティであり、〈Cybereasonは機能評価が最も高いEDR製品(FORRESTER)〉(*2)と評価されています。


*1 出典:株式会社 富士キメラ総研、2023年12月14日発行、「2023 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧《市場編》」、サイバーリーズン合同会社「Cybereason EDR」

*2 出典:サイバーリーズン合同会社「第三者による評価」

4-2.エンドポイントプロテクションの導入手順

エンドポイントプロテクションを導入する際は、以下のようなステップが基本です。

【エンドポイントプロテクション導入の基本ステップ】

  • 現状分析と要件定義:まず、自社の現状のセキュリティレベルや課題を分析します。そのうえで、エンドポイントプロテクションに求める要件を明確化します。
  • ベンダー選定:要件に基づき、適切なベンダーと製品を選定します。機能や性能、コスト、サポート体制など、多角的な評価が必要です。
  • 設計とテスト:選定した製品を用いて、自社の環境に適した設計を行います。パイロットテスト(本格導入前の小規模な試験運用)を実施し、動作の確認や運用面の課題を明確にします。
  • 本番導入と運用:テストで問題がないことを確認したら、本番環境へ導入します。ユーザートレーニングを行い、円滑な運用を開始します。
  • モニタリングと改善:導入後も、継続的なモニタリングを実施。運用上の課題を改善し、最新の脅威に合わせてポリシーを最適化していきます。

とくに重要なのは、要件定義とベンダー選定の段階です。自社のセキュリティ課題やIT環境を踏まえ、最適なソリューションを見極める必要があります。


しかしながら、エンドポイントプロテクションの導入は、専門的な知見と経験が求められる難易度の高いプロジェクトです。自社だけでは最適な選択を見誤るリスクもあるでしょう。


そのようなリスクを排除するために、弊社ではセキュリティの専門家チームが、導入をサポートしています。


前述のEDRソリューション『Cybereason EDR』をはじめ、組織のニーズに合った最適なプロダクトをご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。

5.まとめ

本記事では「エンドポイントプロテクション」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

エンドポイントプロテクションの基本と重要性として、以下を解説しました。

  1. エンドポイントプロテクションとは、PC・スマートデバイスなど企業のITインフラの末端を保護するセキュリティ対策の総称
  2. ウイルス対策・EDR・MDM・UEMなど関連ソリューションとの連携で多層防御を実現
  3. ランサムウェアや標的型攻撃の脅威増大に伴い、エンドポイント防御の重要性が高まっている

エンドポイントプロテクションの活用で実現する企業価値として、以下を解説しました。

  1. サイバー攻撃からの包括的な防御体制の構築
  2. コンプライアンス対応強化と監査対策への貢献
  3. リモートワーク環境でのセキュリティ確保
  4. インシデント対応時間の短縮によるビジネス継続性向上
  5. 統合セキュリティ戦略の強化

最新のエンドポイントプロテクション技術として、以下をご紹介しました。

  1. AI・機械学習による未知の脅威への対策
  2. 振る舞い分析による検知と対応の自動化
  3. クラウド活用によるシームレスな防御
  4. 暗号化とデバイス制御によるデータ保護

いま、社会全体のデジタルシフトが加速するなか、エンドポイントはまさに企業防衛の生命線といえます。


多様化する働き方を支えつつ、巧妙化する攻撃に先手を打つ取り組みが、ビジネスの明暗を分けることになるでしょう。本記事が、守りを固める一助となれば幸いです。


最後に、クエストではEDRの導入支援に加え、複雑化する運用についてもサポートをしております。また、クエストではEDRだけに留まらず、包括的なセキュリティ対策を支援しておりますので、セキュリティでお困りのお客様は是非当社にご相談ください。