目次

「競合他社の動向を踏まえて、自社でもDX推進に取り組むことになった。まずはデータ活用できる環境が必要だと助言を受けたけれど、いまいちピンとこない。」
「DXを推進してアナログをデジタルに変換するところまでは進んだ。次はデータ活用だけど、どのように取り組めば良いの?」
 
DXを推進し始めると、目にする機会が増える「データ活用」。
 
何となくDX推進時の必要性を感じているもののイメージが沸きにくく「本当にデータ活用をしなければならないのか」「自社でも取り組めるのか?」など、疑問や不安を抱えているのではないでしょうか。
 
結論から言うと、データ活用は、DX推進時に必要な要素です。
 
なぜなら、そもそもDXは、「データやデジタル技術を使い、他社と差別化できる価値を創出する」という定義なので、データを活用できないとDXを進められないからです。DXとは、ただITツールやシステム導入による効率化を測ることではないのです。

DX推進にはデータ活用が必要

DX推進時に必要なデータ活用は、下記の5つの流れで取り組みます。

DX推進でデータ活用をする流れ

※リンクをクリックすると活用法の部分に移動します  

データ活用の流れ 概要
データを取得・収集する DX推進に向けて必要なデータを取得、収集する
データを整える データの形式、名称などを整える
データを蓄積する データの機密性に応じて蓄積する
データを分析する 蓄積したデータを分析して傾向などを把握する
データをもとに判断、意思決定をする 分析したデータをもとに目的に応じた判断、意思決定をする

 

しかし、ただデータを収集するだけでは、「データを活用する」ことにはなりません。
 
DXの目的となる付加価値の創出、競争力の強化につなげるためにも、データを活用の詳しい方法やDXで活用するための手順を把握しておくことが重要です。
 
そこでこの記事では、DX推進時にデータを活用が必要な理由や、具体的な活用方法などを詳しく解説していきます。
 
最後まで読めばDX推進時にデータ活用が重要になることが理解でき、自社の現状に応じて活用を進められます。
 
DXを推進してしっかりと成果を出すためにも、DXに欠かせないデータ活用の基礎知識を身につけておきましょう。

 
データ活用の環境構築やデータ収集の支援、データ活用のフェーズ、システム開発、そして運用保守まで、データ活用に必要なあらゆる領域をワンストップでサポートしています。お悩み事などありましたら、お気軽にご相談ください。

1. DX推進ではデータ活用が必要!理由3つ

1. DX推進ではデータ活用が必要!理由3つ

冒頭でも触れたように、DX推進時にはデータ活用が必要です。
データ活用を避けていると新しい価値の創出や競合他社との差別化ができず、DXがなかなか進みません。
 
ここでは、DX推進時にデータ活用が必要な3つの理由をご紹介します。

DX推進でデータ活用が必要な理由

「DXを推進するならまずはデータ活用に取り組む」と納得感を持つためにも、ぜひ参考にしてみてください。

1-1. 理由1:DX推進の基盤を整えるため

1つ目は、DX推進の基礎を整えるためです。
そもそもDXは、データやデジタル技術を使い、他社と差別化できる新しい価値を創出することです。
 

【DXの定義】

データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。

出典:経済産業省「デジタルガバナンス・コード実践の手引き」
 
 
データの活用はDXの定義に含まれており、DX推進に重要な技術になります。
 
そのため、データ活用ができないと、DX推進の第一歩を踏み出せずに、いつまでもDXが前に進まない状態に陥るのです。
 
実際にDXを推進時に、全ビジネスパーソンが習得するべきスキルを定義した「DXリテラシー標準」には、活用するデータの種類、データ活用の方法などが含まれています。
 
データ活用がDX推進の基礎知識として扱われ、DX推進に欠かせないことが理解できるでしょう。
  

【DXリテラシー標準のスキル】

・マインド・スタンス:DX推進の考え方、姿勢を身につける
・DXの背景:DXが必要となった背景を知り納得感を持つ
・DXで活用されるデータ・技術:DX推進に必要なデータや技術を理解する
・データ・技術の利活用:データを利活用できる知識を身につける

参考:独立行政法人情報処理推進機構「デジタルスキル標準ver1.2」
 
 
このように、データ活用はDX推進の重要な要素の1つです。DX推進の基盤を整えるためにも、まずはデータ活用ができる状態にすることが大切です。

1-2. 理由2:データドリブン経営を実現するため

2つ目は、データドリブン経営を実現するためです。
 
データドリブン経営とは、様々なデータをもとに経営判断、意思決定をすることです。昨今はVUCA時代(不確実性が多く予測困難な時代)に突入して、勘や経験に頼った経営判断が難しくなりました。
 
そこで、データを活用して説得力のある数値、客観的なデータをもとに判断していく、データドリブン経営が注目されるようになったのです。
 
データドリブン経営は下記のような点でDXと親和性が高く、DXを成功させるために重要視されています。
 

【データドリブン経営とDXの関係性】

・データに沿った判断をすることで今までにない価値が創出できる
・データをもとに戦略が立てやすくなり自社の優位性が確保しやすくなる
・自社が保有するデータの質や量が企業の競争力になる

 
例えば、DX推進で店舗に来店する顧客データをリアルタイムで分析できるシステムを導入した場合。天候やその日のニーズ、在庫量をリアルタイムで分析することができるので、より迅速かつ効果のある、データと連動した店舗づくりができます。

リアルタイムの分析で迅速に判断

また、製造業であれば、DX推進時に工場の稼働データからリスクや課題を抽出し工程を改善できれば、品質が向上して自社の優位性を確保できる可能性があります。
 
このように、DX推進時にデータドリブン経営にシフトするには、データを集めて見える化し、活用できる状態できる状態に整える必要があるのです。

1-3. 理由3:最新のテクノロジーを活用できるようにするため

3つ目は、最新のテクノロジーを活用できるようにするためです。
 
DX推進時には、独自の価値創出や他社との差別化を目指して、最新テクノロジーの活用を検討することがあります。
 
下記のようにデータ活用が前提となっているテクノロジーも多く、データが使えないと、そもそも活用できない状況に陥ってしまいます。
   

最新のテクノロジー
データ活用が必要な理由
AI
(人工知能)
・チャットボットなどの問い合わせ支援、業務支援に活用できるが、そのためのデータが必要
Iot
(モノとインターネットを接続する技術)
・機器や電化製品から取得したデータの利活用が必要
デジタルツイン
(サイバー空間内に現実空間の環境を再現する技術)
・サイバー空間に転送するデータが必要

 
例えば、顧客対応できる窓口を増やすために、AIを活用したチャットボットの導入を検討しているとしましょう。
 
精度の高い受け答えをしてもらうには、AIに学習させるデータが必要です。このデータは日頃の問い合わせ履歴などのデータを収集、分析して用意するため、データ活用ができないと付加価値を生む導入が難しいでしょう。
 
また、最新テクノロジーに対応できないと、競合他社との差が開き、市場での存在感が薄くなるリスクもあります。
 
DX推進時に今までにないテクノロジーを活用したいと思う場合にも、データ活用ができるようにしておく必要があります。

 
データ活用の環境構築やデータ収集の支援、データ活用のフェーズ、システム開発、そして運用保守まで、データ活用に必要なあらゆる領域をワンストップでサポートしています。お悩み事などありましたら、お気軽にご相談ください。

2. 業界別DX推進時のデータ活用の例

2. 業界別DX推進時のデータ活用の例

DX推進時のデータ活用の必要性が分かったところで、製造業や商業施設運営会社などでのDX推進時のデータ活用例をご紹介します。
  

業界 取り組み内容
製造業 ・工場内のマシンの稼動データを蓄積して営業社員が外出先からでも確認できるようにした
・従来とは異なる営業プロセスが構築できた
総合商社 ・国内外の工場の設備稼働状況や従業員の業務状況をデータ化して、生産性の向上や経営判断に活用する
・3年程度のデータ収集ができて、計測すべきデータの仕様、ノウハウの蓄積ができた
商業施設運営 ・施設内店舗への来店情報や施設内の回遊情報などの行動データ、ポイントカードの利用実績データを収集
・行動データと購買データの2つを活用して、付加価値の創出を目指す

 
実際にDXを推進している企業では、どのようにデータを活用して付加価値を創出しているのか、参考にしてみてください。

2-1. 製造業:稼働データを可視化して情報共有ができるようになった

射出成形用金型の設計・製造をしている「株式会社IBUKI」は、人材不足や経営再建の苦戦などを機に金型製造の優れたノウハウを最大限に活用した経営改革(DX)に取り組みました。
 
下記のように、様々なデータを蓄積、活用できる環境を整えたそうです。
  

【DX推進でのデータ活用例】

・工場内のマシンの稼動データを蓄積
・就業管理や営業管理などのIT系のデータ、工場のOT系のデータなどの蓄積データを用いて、データの管理を一括するサービスを外販

 

稼働データの可視化では、工場機器の稼働状態を生産現場だけではなく、営業社員が外出先からでも確認できるようにしました。そうすることで、従来とは異なる営業プロセスが構築でき、仕事の取り組み方の変革へとつながったそうです。現場に寄り添いながらDXを推進したことで、現場の抵抗感を払拭できたと言えるでしょう。
 
特に、データ活用ではただデジタル化をするのではなく、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を意識してトラブルを防ぎ定着を図ったとのことです。
 
今後はOT系とIT系データの一括運用をして、データ運用の効率化を推進する見込みです。このように、今まで可視化できていなかったデータを可視化、活用できる環境を整え、働き方を改革した事例だと言えます。
 
 
参考:独立行政法人情報処理推進機構社会基盤センター「製造分野のDX事例集」

2-2. 総合商社:データの生産性向上、経営判断活用を目指す

大手総合商社の「住友商事」では、グループ全体でDXを推進しています。日本国内のみならず海外工場でも労働力不足が課題となっており、自動化を視野に入れた生産性向上を目指した取り組みを実施しているそうです。
 
グループ会社の住友商事グローバルメタルズでは、国内外の工場の設備稼働状況や従業員の業務状況をデータ化して、生産性の向上や経営判断への活用を目指しています。
 
3年程度のデータ収集ができて、計測すべきデータの仕様、ノウハウの蓄積ができたそうです。また今後は一度にやりとりできるデータ量や遅延などで制約されていた、データ計測頻度を高めたいと考えているようです。
 

また、カメラ映像の解析情報などの付加情報を分析に活用できるように、グループ全体でローカル5Gの導入、監視カメラ映像の解析を進めることを計画しています。
 
 
参考:総務省「デジタルデータ活用の現状と課題」

2-3. 商業施設運営:行動データと購買データを活用して顧客満足度向上を目指す

商業施設の運営会社では、行動データと購買データを活用したDX推進の取り組みをしました。
 
この取り組みでは、利用客が事前登録している商業施設のスマートフォンアプリと、ビーコン端末(Bluetoothを使って)を連動させて、施設内店舗への来店情報や施設内の回遊情報などの行動データを収集しました。
 
購買データは、スマートフォンアプリのポイントカードの利用実績から把握できるようにしています。抽出した行動データと購買データを組み合わせて、店舗間の相関関係などのデータ分析を実施したそうです。
 
分析結果をもとに、店舗と顧客にそれぞれ適切な情報を提供して、顧客満足度の向上や売上拡大につなげていく見込みです。
 
・顧客:データに基づき店舗情報や販売情報などのレコメンド情報をリアルタイムに提供する
・店舗:店舗配置計画に役立つデータを提供する
 
行動データと購買データの2つを活用して、付加価値の創出を目指すデータ活用の事例だと言えるでしょう。
 
 
参考:独立行政法人情報処理推進機構「データ利活用ユースケース集」

3. DXでデータ活用をする前に環境を整えることが大事!6つのステップ

3. DXでデータ活用をする前に環境を整えることが大事!6つのステップ

先ほどご紹介した企業事例のように、DX推進時にデータ活用をするには、ただデータを収集するのではなくデータ活用できる環境を整えることが重要です。
なぜならDXではデータを活用して適切な判断をして、付加価値の創出や競争力の強化につなげることが求められるためです。
 
ここでは、DX推進時にデータを活用する環境を整えるためのステップをご紹介します。DXを推進するために必要なステップとなるので、ぜひ参考にしてみてください。

3-1. ステップ1:データ活用の目的と必要なデータを決める

まずは、データ活用の目的と必要なデータを決めましょう。
 
DX推進時には新たな価値の創出や意思決定(データドリブン経営)に使える、意味のあるデータが必要だからです。
 
データ活用の目的はDX推進の目的、現状の課題により異なりますが、下記のような目的が検討できるでしょう。
 

【データ活用の目的の例】

・付加価値を創出するために顧客、製品データを収集したい
・工場のリスク管理のため稼働データや製造データなどを収集したい
・競争力を強化するためにマーケティングに使えるデータをまとめて収集したい

 
目的が明確になったら、どのようなデータが必要なのか検討します。ここで重要なのは、特定のデータをイメージするのではなく「コアデータ」「関連データ」「データ基盤」をセットで考えることです。

コアデータだけでなく、コアデータに紐づくデータモデルも検討する

DX推進時のデータ活用の必要性が分かったところで、製造業や商業施設運営会社などでのDX推進時のデータ活用例をご紹介します。
  

データセット 取り組み内容
コアデータ ・データの中心に位置する目的達成のために必要不可欠なデータ
データモデル ・コアデータと関連性があり目的達成のためにあったほうが良いデータ
データ基盤 ・データを保管するツール、サーバー

 
例えば、競争力を強化するためにマーケティングに使えるデータを収集したい場合に、顧客データだけでは十分なデータ活用ができません。
 
中核となる顧客データはもちろんのこと、その周辺にあるデータも把握して、収集する範囲を検討します。
 
顧客データと関連性の高い購入履歴、店舗情報までは把握したいけれど、商品在庫までは要らないなど、関連性を意識しつつデータを絞り込むことで活用しやすくなるでしょう。
 
この段階で、データの保管場所、使用ツールまでイメージできる場合は、併せて検討しておくとスムーズに進みます。

3-2. ステップ2:データ活用時のリスクや課題を洗い出す

続いて、データ活用の環境を整える前に、データ活用時のリスクや課題を洗い出します。
 
データ活用を進める中で次々課題を見つけてしまうと、課題の改善に気を取られて目的達成が遠くなってしまうためです。
 
データ活用をする現場の声や上層部の声も取り入れながら、下記のようにどのようなリスク、課題があるのか洗い出しましょう。
 

【データ活用時に想定されるリスク・課題】

・データの取り扱い(情報漏えいリスクなど)
・データの活用範囲(部門や支店をまたぐ活用の有無など)
・社内の抵抗(データ活用に前向きになれないなど)
・コスト(ツール導入費用など)

 
ここでポイントとなるのは、想定されるリスクや課題に解決策を紐づけておくことです。
 
解決策がないまま進めるとどこかでトラブルになるため、解決できる見込みがあるかどうかを明確にしておきましょう。
 

【想定されるリスク・課題の解決策の例】

・データの取り扱いリスク:ルール化する
・データの活用範囲:データごとに明確にする(権限を設ける)
・社内の抵抗:事前説明会をする
・コスト:上層部との話し合い済み

3-3. ステップ3:データの収集から活用までの流れを決める

続いて、データ収集から活用までの流れに沿って全体像を決めていきます(詳細は「4.DX推進でデータ活用をする5つの方法」で解説しています。)。
 
一例として、下記のように、タイミングごとに使うツールや、データの活用方法などを決めておくと良いでしょう。

3-3. ステップ3:データの収集から活用までの流れを決める

出典:独立行政法人情報処理推進機構「「データの⺠主化」 従業員によるデータ利活⽤の拡⼤」
 
 
 

データ活用の方法
データ収集 ・ソーシャルデータやオープンデータなどからデータを収集して一時的にデータレイクに保管する
データを整える ・ETL、データプレパレーションツールでデータを使いやすい形式に加工する
データの蓄積 ・データウェアハウス(複数のシステムのデータを一元管理する)でデータを蓄積する
データの分析・使用 ・BIツールなどでデータを分析して経営判断に活用する
・データを機械学習やアプリに使用してサービスの質を高める

 
この時のポイントは、優先順位を決めてスケジュールを設計することです。
最終的な全体像は複数のツールを活用していたとしても、一度に全てのツールを導入することは難しいことは往々にしてあります。
まずはスモールスタートをして少しずつ拡大したほうが、リスクを最小限に抑えられるでしょう。
 
例えば、まずは優先度の高いBIツールから導入して、その後徐々に他の工程のツールも整備していくなどのスケジュールが検討できるはずです。
 
DXの推進は中長期的な取り組みなので、焦るのではなく実現可能なスケジュールで少しずつ進めていくことをおすすめします。

3-4. ステップ4:データ活用のルールを決める

データ活用ができる環境を整えるのと同時に、データ活用のルールを決めましょう。特に、DX推進により本格的にデータ活用を開始した場合、最初のうちは従業員のセキュリティ意識が低い可能性があります。
 
データ活用を開始する前に、下記のようなルールを決めておきましょう。
  

【データ活用のルールの例】

・データの活用範囲
・データの持ち出しの有無
・データのアクセス権限
・データの加工の有無
・データの公表の有無
・法令に沿ったデータの扱い

 
例えば、データの持ち出し範囲を決めておかないと、悪気なくデータを外部に持ち出す、デスクトップに保存するなどのトラブルが起こるかもしれません。
 
データが漏えいすると企業の責任が問われるため、データを扱う対象者全員が同じ基準で扱えるようルールを決めておきましょう。
 
また、個人情報や企業情報などを扱う場合は、法令に沿って正しく活用しなければなりません。個人情報保護法や著作権法などを理解したうえで、ルールを設定しるようにしてください。

3-5. ステップ5:社内にデータ活用を定着させる

データ活用ができる環境が整ったら、実際に運用しながらデータ活用が当たり前になるように社内への定着を促します。
 
ツールだけ導入しても社内で使用できなかったら、DXの定義である「データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していく」に到達できないためです。
 
DXを推進するためにデータ活用をするためにも、下記のような方法を検討してみましょう。
 

データ活用を推進する方法
データ利活用の研修をする ・データ活用の仕組みや基礎知識を身につける
・データ活用事例などを共有する
業務にデータ活用を組み込む ・顧客管理、売上管理などをデータ化して、月末にレポート作成するなど業務にデータ活用を組み込む
データ活用を推進するプロジェクトを開始する ・データドリブン経営プロジェクトなどデータ活用を促進するプロジェクトを立ち上げて積極的に活用する

 
特に、DXを推進するうえでは、データを使った付加価値の創出、経営判断が求められます。
 
特定の社員だけがデータを使用できる状態では、DXが推進できないため、全社員が基礎的な知識がある状態を目指すと良いでしょう。
 
また、事例のように、データを活用して顧客満足度を高める、業務効率化を目指すなどの新たな取り組みはプロジェクトを立ち上げて、データ活用の方法を模索していくと、活用できる場面が増えていきます。

3-6. ステップ6:データ活用の課題を洗い出して改善する

一定期間データ活用をしたら、下記のような視点で課題を洗い出して改善をします。
  

課題を見つける視点
データ活用のプロセス
・データの収集、蓄積、分析などの各プロセスに課題はないか
<例>
データの収集に時間がかかっている
データ活用の体制
・データを活用する人員、プロジェクトなどの体制に課題はないか
<例>
高度なデータ分析ができる人材が不足している
データの活用のルール
・データ活用の過程で使用するツールに課題はないか
<例>
データ蓄積ができるツールが多く連携しにくい

 
例えば、データ活用のプロセスでデータ収集に時間がかかり、分析に至らない課題があるとしましょう。その場合、データ収集に時間がかかる理由を模索して、少しでも短縮できる方法を検討します。
 
このように、DX推進時のデータ活用はPDCAを回しながら、付加価値の創出、経営判断に活用できるように最適化していくといいでしょう。
 
データ活用の環境構築やデータ収集の支援、データ活用のフェーズ、システム開発、そして運用保守まで、データ活用に必要なあらゆる領域をワンストップでサポートしています。お悩み事などありましたら、お気軽にご相談ください。

4. 実際にDX推進でデータ活用をする流れ

4. 実際にDX推進でデータ活用をする流れ

DX推進時にデータ活用ができる環境を整えたところで、実際にデータを活用する流れを詳しく見ていきましょう。
 
データ活用には、下記の5つのステージがあります。基本的にはデータの取得から意思決定までの流れに沿って取り組みますが、既に十分なデータがある場合は、分析から取り組むことも可能です。

DX推進でデータ活用をする流れ

  

データ活用の流れ
活用できるツール
データを取得・収集する
DX推進に向けて必要なデータを取得、収集する ・API連携ツール
・スクレイピングツール
・Webアンケートツール
データを整える
データの形式、名称などを整える ・ETLツール
・データプレパレーションツール
データを蓄積する データの機密性に応じて蓄積する ・クラウドストレージサービス
・顧客管理システム
・営業支援ツール
データを分析する 蓄積したデータを分析して傾向などを把握する ・BIツール
・MAツール
データをもとに判断、意思決定をする
分析したデータをもとに目的に応じた判断、意思決定をする

 
DX推進の要となるデータ活用の具体的な方法を把握するためにも、参考にしてみてください。

4-1. データを取得・収集する

まずは、データの取得、収集をします。内部データ(売上や顧客情報など社内で取得できるデータ)、外部データ(口コミやアクセスログなど社内では取得できないデータ)がないと、活用できないためです。
 
総務省が公表している「デジタルデータ活用の現状と課題」によると、企業がデータ活用に使っている主なデータは下記のとおりです。

出典:総務省「デジタルデータ活用の現状と課題」

出典:総務省「デジタルデータ活用の現状と課題」
 
 
 

データの取得、収集方法
概要
API連携でのデータ取得 外部アプリケーション、システムが取得するデータを収集する
<例>
SNSアカウントのユーザー属性、キャンペーン成果のデータを収集する
スクレイピングツールの活用 Web上から必要なデータを自動で取得する
<例>
不動産業界の場合は特定エリアの土地情報、賃料の情報を自動で取得する
Webアンケートツールの活用 ターゲットにアンケートを送付して回答をもらいデータを取得する
<例>
商品、サービス利用者にアンケートを送付して顧客情報を取得する
データの購入 データの収集機関、調査機関などからデータを購入する
<例>
業界に特化した動向を調査している業者から最新データを購入する
データレイクの活用 様々なソースから得たデータやファイルを一時に保管する
<例>
ソーシャルメディアから得たデータ、社内の売上データなどを一時的に保管する

 
例えば、自社の業界の最新情報はWeb検索やニュースなどから取得できますが、日々リサーチしていると時間を要します。
DX推進に必要な業務効率化の側面からスクレイピングツールを活用すると、ある程度の情報収集を自動化できるでしょう。
 
また、Webアンケートを実施して、リアルな声を取得するのも1つの方法です。このように、まずはDX推進に必要なデータの取得を実施しましょう。
  

【取得、収集したデータの品質を確認する】

データを取得、収集する時は、データの品質を確認しましょう。質の低いデータを信用して活用すると、経営判断などに悪影響を及ぼす可能性があります。
 
質の低いデータの一例は、下記のとおりです。
 
・虚偽の内容が含まれる
・更新日が古い
・情報に整合性がない
・情報の変更事項が反映されていない
 
データの品質は取得、収集方法などにより左右されます。目的に応じて、一定の質を担保できるように意識してください。

4-2. データを整える

ある程度データを取得できたら、データの形式を整えます。データの形式が揃っていないと、データが必要なタイミングで検索ができず有効活用できなくなる可能性があるからです。
 
例えば、売上データのファイル名に「2025/04/01」と「2025年4月2日」、「2025-04-03」が混在しているとしましょう。
そうすると、自社の売上を競合と比較しようとデータ検索をする時に「2025-04」と入力すると、「2025/04」や「2025年4月」の表記はヒットしません。

データを整える理由

つまり、活用しやすい形式にデータを揃えておかないと、データ漏れやデータの紛失につながるのです。

基本的なところですが、案外統一されていないことも多いです。データを整える時には下記の点をルール化して、誰もが同じように保管できるようにしましょう。
 

【データを整える時にルール化する項目】

・形式(Excel、Wordなど)
・データ名の表記
・変更履歴の扱い(変更履歴を残すなど)

 
データを整える作業中には、データの破損、重複が見つかる場合があります。
例えば「2025/04/01」と「2025年4月1日」のデータが見つかるケースが該当します。このような場合は、データを統合して、重複データが存在しないようにしましょう。
 
また、データを整える過程を自動化したい場合には、ETLツールやデータプレパレーションツール(データの収集、加工ができるツール)が活用できます。特に、扱うデータ量が多く、データの加工が負担となる場合に、導入を検討できるでしょう。
 

【アナログデータがある場合はOCRなどを活用してデジタルデータに変換する】

紙面で管理している情報がある場合は、DX推進も兼ねてデジタルデータに変換して、他のデータと同じルールで管理しましょう。
 
紙面の情報をデジタルデータに変換する時は、OCRの活用が検討できます。OCRとは、画像に含まれる文字を認識してテキストデータに変換する技術です。
 
例えば、紙面で管理していた顧客情報をデジタルデータに変換して、他のデータと同様の加工ができるようになります。

4-3. データを蓄積する

データの名称や保存形式が揃ったら、データを蓄積します。データは機密性に応じて、下記のように蓄積場所を変えることが重要です。
 

機密性
データの例 蓄積する場所の例
機密性:高い ・顧客データ
・取引先データ
・図面データ
など
・自社保有サーバー
・オンプレミス(自社で構築、運用)のシステム
機密性:普通 ・Web検索情報などの蓄積データ
など
・クラウドストレージサービス
機密性:低い ・誰でも使用する素材データ
など
・クラウドストレージサービス
・ハードディスク

 
例えば、DXを推進するために顧客データ、取引先データを収集している場合は、社外に流出してはいけない機密情報に該当します。そのようなデータは、自社保有サーバーやオンプレミスシステムなどで、厳重に保管したほうが良いでしょう。
 
また、機密性の高いデータは全社員が自由に活用できる状態にしておくと、不正利用や情報漏えいリスクが高くなります。権限を設けて、活用できる範囲を絞ることも検討してみてください。
   

【保管データに応じたシステムの導入も検討できる】

データを保管する時はすぐに活用できる体制を整えるためにも、下記のようなシステムの導入も検討できます。
 
・顧客管理システム(CRM):顧客データを一元管理する
・営業支援ツール(SFA):顧客データや案件データなど営業活動に必要なデータをまとめて管理できる
・文書管理システム:社内の資料や契約書などをまとめて管理する
 
例えば、顧客管理システムを導入すれば、アクセス権限のある社員は、いつでも顧客データを閲覧でき分析などに活用できます。
 
活用するデータにもよりますが、DX推進と併せて必要なシステム導入を検討してみてください。

4-4. データを分析する

ある程度データが揃ったら、収集したデータを使って分析をします。データ分析とは、数値や客観的なデータをもとに合理的な判断をするための手法です。
 
データ分析は目的に応じて手法が大きく異なりますが、主に下記のような手法が検討できるでしょう。
 

データ分析の方法
概要
データの閲覧 ・収集したデータを閲覧して傾向、現状を把握する
<例>
月間の集客データをダウンロードして傾向を分析する
データの集計 ・Webアンケートなどを集計して傾向を把握する
<例>
顧客満足度の低い理由、傾向を分析する
高度なデータ分析 ・複数のデータを活用して関連性や傾向などを分析する
<例>
客単価と商品、属性などの複数データを踏まえて購買傾向を分析する
BIツール・MAツールなどの活用 ・ツールを活用してデータ分析を効率化する
・BIツール:データの収集、分析をするツール
・MAツール:マーケティング活動を自動化、効率化するツール

 
例えば、自社の強みを把握するために、顧客を対象としたWebアンケートを実施したとしましょう。アンケートの回答を項目ごとに集計して、自社への評価や購入者の属性などを明確にしていきます。
 
30代女性の購入、評価が高い傾向があるなど、データから見えてくるものを抽出して、次の過程で活用できるようにしていくイメージです。

4-5. データをもとに判断、意思決定をする

データをもとに意思決定をする例

5. DX推進時のデータ活用によくある課題と成功させるポイント

5. DX推進時のデータ活用によくある課題と成功させるポイント

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よくある課題 成功させるポイント
部門間でデータの扱いが統一されていない DX推進を機にデータ活用の体制を構築し直す
セキュリティ対策が不十分で不安がある 「人」「技術」「ルール」の三位一体でのセキュリティ強化を目指す
データを利活用できる人材がいない 基礎的なデータ活用を推進しつつ高度なデータ活用は外部の企業、人材との連携を視野に入れる

 
データ活用はDX推進の第一歩です。DXを加速させるためにも、どのような課題を解消しなければならないのか把握しておきましょう。

5-1. よくある課題1:部門間でデータの扱いが統一されていない

1つ目の課題は、部門間でデータの扱いが統一されていないことです。
 
販売や製造、開発部門ごとにデータの蓄積方法、ルールが異なり、販売、製造データの双方を活用できないケースが該当します。
 
この課題を解決するには、DX推進を機にデータ活用の体制を構築し直すことがおすすめです。
 
DX推進には、部門間の連携が必要不可欠です。部門の間に壁があるとデータだけでなく、システムや技術などの連携もできず、全社的にDXを推進できません。

データの扱いが統一されていない例

だからこそ、データ活用においても、部門間で断絶するのではなく、下記のような部分を見直して、同じ認識でデータを扱えるようにすると良いでしょう。
 

【部門間のデータ活用を見直す時のポイント】

・データ活用のルール、セキュリティの統一
・部門間のシステムの連携、データ共有
・部門を超えたデータ活用の提案

 
例えば、現在は部門内でしか使えないデータを整理して、一部のデータを、部門を超えて共有できれば、より迅速な意思決定につながる可能性があります。
 
また、各部門でしか把握していなかったデータを、部門を超えて共有することで「FAQに活用できる」「新商品開発に活用できる」など、新しい価値の創出につながるかもしれません。
 
このように、部門間でデータが分断されている場合は、DX推進を機に体制を見直してみましょう。

5-2. よくある課題2:セキュリティ対策が不十分で不安がある

2つ目の課題は、セキュリティ対策が不十分で不安があることです。

特に、今までデータを積極的に扱ってこなかった企業にとっては、ルールの設定やセキュリティ対策が課題になりやすいです。
 
実際にデータ活用のルール、セキュリティ対策が不十分で、下記のようなトラブルが起きています。
 

【データ活用でのトラブル例】

・気象データ提供サービス事業者が提供している有料データが、顧客(企業)を起点に関連会社などに流通してしまった
・人体計測データを掲載した書籍を有料で提供する事業者では、研究元が書籍データを含む内容を別の出版物に掲載した

参考:経済産業省「データ侵害の事例」
 
 

企業が扱うデータには様々な情報が含まれているので、場合によっては大きなトラブルに発展するリスクがあります。
 
データの活用を開始する前に「3-4.ステップ4:データ活用のルールを決める」で触れたルール設定と、社内のセキュリティを強化しましょう。
   

セキュリティ強化の方法
概要・例
ルールの設定 ・データを扱うときのルールを設定、周知徹底する
<例>
データの活用範囲、蓄積場所を守る
データを外部と共有する場合は承認を得る
など
セキュリティ強化 ・サイバー攻撃、ウイルス感染などによりデータ漏えいが起こらないようにセキュリティを強化する
<例>
ウイルス対策ソフトの導入
ツールごとのセキュリティ最適化

 
例えば、社員がどれだけデータ活用のルールを意識していても、サイバー攻撃などの外部攻撃に対応していないと、データが漏えいするリスクがあります。
 
ルールがあれば十分というわけではなく、「人」「技術」「ルール」の三位一体でのセキュリティ強化を意識しましょう。
  

【データ活用時のセキュリティチェックリストが公開されています

経済産業省が公表している「データ利活用のポイント集」では、データを活用する時に意識するべきセキュリティチェックリストが掲載されています。
 
どのような点を意識してセキュリティ強化をすれば良いのか分からない場合は、ぜひ参考にしてみてください。

5-3. よくある課題3:データを利活用できる人材がいない

3つ目の課題は、データを利活用できる人材がいないことです。
データの収集や蓄積はできても、目的に必要なデータを選定して分析をするには知識が必要です。
 
特に、高度や分析をする人材やデータ活用の運用ができる人材が不足している傾向があります。
 
独立行政法人情報処理推進機構が公表している「DX動向2024」によると、19.1%の企業がデータサイエンティスト(データの収集、解析する仕組みの設計・実装・運用をする人材 )が不足していると回答しています。
 
データを利活用できる人材がいないからとデータ活用を中断するとDXが進まないため、できる範囲から活用を進めることが大切です。
 
例えば、まずは顧客管理や在庫管理をデータ化して、毎月傾向を分析するなど、できる範囲から取り入れていきましょう。それと同時に、下記のような方法で、データの利活用できる人材の確保も検討します。
 

【データを利活用できる人材を確保する方法】

・社内で育成する
・人材を採用する
・データの利活用ができる社外人材、企業と契約する

 
DXを推進できる高度なデータ利活用ができる人材は社内育成では時間がかかるため、外部採用や他社との連携を検討できます。
 
既にデータ活用やDXへの知見がある企業と連携することで、人材、知識不足を解消しながら、目的に合うデータ活用ができる環境を整えられるでしょう。
 
このように、データ利活用ができる人材が不足している場合は社内のみで解決しようとせず、外部の協力を得ることも視野に入れてみてください。

ゼロトラストの実現に向けて多要素認証を導入するときは、セキュリティを強化するのはもちろんのこと社員の負担軽減に着目することがポイントです。
 
いくらセキュリティを強化できる多要素認証ツールであっても社内で運用できなければ、長期的に使用できないからです。
 
そこでここでは、社員の負担を減らす多要素認証の導入のポイントを2つご紹介します。
少しでも社員の負担を減らす導入のヒントとして、参考にしてみてください。

本記事では、セキュリティ監視について、以下の内容を解説します。

 

DX推進時のデータ活用をサポート!クエストのデータエンジニアリングサービス
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ここまで、DX推進時に欠かせないデータ活用の方法や具体的な取り組み手順をご紹介しました。
 
DX推進時にデータ活用をするイメージを持てたかと思いますが「自社だけで本当に推進できるのか」「ツール選定が難しそう」など、具体的に進めるうえでの不安を感じた担当者様もいるでしょう。
 
デジタルの未来をお客様と探求し共創するITカンパニーである私たちクエストは、データエンジニアリングサービスを提供しています。
 
データ分析に最適な環境構築からデータ収集までを一貫してサポートして、データがすぐに活用できる形式に整えます。
 
お客様のデータ活用方針が定まっておらず、段階的な導入を希望される場合でも、当社のチームを現地に派遣してヒアリングでアセスメント(事前評価)を行い、お客様のビジネスニーズに応じた提案をさせていただきます。
 
また、クエストでは、AWS Redshiftを活用した統合データウェアハウス環境を提供した実績があり、大量のデータを効率的に処理し、分析結果をビジネスに活用する支援も可能です。
 
「DX推進を機にデータ活用できる環境を整えたい」「システム導入だけでなくデータ活用支援も受けたい」という場合は、ぜひ私たちクエストにお気軽にお問い合わせください。

6. まとめ

この記事では、DX推進時のデータ活用の具体的な方法や進め方、事例などをまとめて解説しました。
最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。
 
○DX推進時にデータ活用が必要な理由は下記のとおり
・DX推進の基盤を整えるため
・データドリブン経営を実現するため
・最新のテクノロジーを活用できるようにするため
 
○DX推進時にデータ活用ができる環境を整えるステップは下記のとおり
・ステップ1:データ活用の目的と必要なデータを決める
・ステップ2:データ活用時のリスクや課題を洗い出す
・ステップ3:データの収集から活用までの流れを決める
・ステップ4:データ活用のルールを決める
・ステップ5:社内にデータ活用を定着させる
・ステップ6:データ活用の課題を洗い出して改善する
 
○実際にDX推進でデータ活用をする流れは下記のとおり
・データを取得・収集する:DX推進に向けて必要なデータを取得、収集する
・データを整える:データの形式、名称などを整える
・データを蓄積する:データの機密性に応じて蓄積する
・データを分析する:蓄積したデータを分析して傾向などを把握する
・データをもとに判断、意思決定をする:分析したデータをもとに目的に応じた判断、意思決定をする
 
○DX推進時のデータ活用によくある課題と成功させるポイントは下記のとおり
・課題:部門間でデータの扱いが統一されていない
・解決策:DX推進を機にデータ活用の体制を構築し直す
 
・課題:セキュリティ対策が不十分で不安がある
・解決策:「人」「技術」「ルール」の三位一体でのセキュリティ強化を目指す
 
・課題:データを利活用できる人材がいない
・解決策:基礎的なデータ活用を推進しつつ高度なデータ活用は外部の企業、人材との連携を視野に入れる
 
データ活用は、DX推進の第一歩となる重要な要素です。データ活用をできる環境を整えたいもののハードルが高いと感じている場合は、私たちクエストにお気軽にお問い合わせください。