デジタル庁とは?なぜ創設されたのか?

リモートワークや非対面 ・ 非接触の重要性が叫ばれる昨今、社会全体のデジタル化が急務に

新型コロナウイルス感染症の拡大により、政府、地方自治体だけでなく民間企業でもさまざまな課題が浮き彫りになってきました。

例えば、リモートワークを推進したいけれど、押印をするための出社が必要、取引先にIT環境がないため直接出向く必要があるため出張がなくならない、といった声を聞きます。また、病院や学校などの現場では、遠隔(オンライン)での診療や授業なども取り入れられつつあるものの、普及しているとは言いづらい状況です。
このような課題が社会のあらゆるところに存在するため、政府として旗を振って先進的な取り組みを進めることが、デジタル庁に求められている役割です。

デジタル庁の理念は 「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。」

一見、これらを実現するだけであれば民間主導でもできそうですが、社会課題を解決するためには、誰一人取り残さないことが重要です。規模の大きい企業だけが得をする、ITに詳しい企業だけが得をするということがあってはなりません。「どのような社会を実現するか」という、社会全体を見たデジタル化が求められているのです。
そして重要なことは、デジタル化は「目的」ではなく社会課題を解決するための「手段」である、ということです。政府が旗を振れば良いのではなく、民間との役割分担、地域の特性に合わせた地域との連携なども重要になってきます。それぞれの創意工夫を阻害することなく、行政手続きが円滑になるように工夫することが求められているのです。

            



 

出典: デジタル社会の実現に向けた重点計画<概要>            



デジタル庁が開設されることによって、省庁・地方自治体は今後どうなっていくのか?

多くの人が行政に対して不満を持っていることのひとつに、引っ越しや子育て、介護などに関する手続きをする際の、役所における受付環境の不便さが挙げられます。ライフスタイルによっては窓口まで出向くことが困難だったり、営業時間に間に合わなかったり、手続きの難易度によっては窓口をたらい回しにされたり・・・こういった悩みや不満を感じたことがある方も多いと思われます。

このような場合にもマイナンバーカードが備える電子証明書を活用し、パソコンやスマートフォンで手続きができるようになれば、役所を訪れることなく自宅から手続きできるようになるかもしれません。これらを進めるときのキーワードとして、「ワンストップ」、「ワンスオンリー」、「標準化」、「共通化」といったものがあります。

              

ワンストップ

「ワンストップ」は一カ所ですべての関連処理を行うことを指し、代表的な例として、「ふるさと納税」があります。ふるさと納税の場合は、自治体に申請するだけで確定申告をしなくても寄附金控除を受けられる仕組みです。

              

ワンスオンリー

「ワンスオンリー」は、一度提出した情報は二度提出する必要がない、という考え方です。あるシステムに対して情報を提出すれば、他のシステムに自動的に画面に表示されるような仕組みです。何度も情報を入力する手間が省けるので、便利です。

              

標準化、共通化

標準化、共通化しておくことで、複数の自治体との連携なども可能になります。このときに必要なのは、システムを揃えることよりもデータを揃えることです。システムやツールは外部のものを導入できたとしても、それぞれの組織が持っているデータは自力で整備するしかありません。

このとき、データの書式が揃っている必要がありますし、利用制限されていると何もできません。最新のデータが正確に更新され、さらに自由に連携できる状態で公開されていれば、民間との連携も可能になります。これらを実現するために、デジタル庁には各省庁に対する勧告権が与えられています。つまり、各省庁などが持つシステム分野の予算などもデジタル庁に移し、強力な総合調整機能を持って方向性を決めていくのです。その方向性に沿って、各省庁や地方自治体が協力していくことになります。



デジタル庁が創設された際、民間に必要なものとは?

上記のような行政の変化に対して、民間は何をすれば良いのか、何ができるのかを考えてみましょう。 例えば、行政がマイナンバーを活用できるようになると、民間でも使えるように法改正などが行われる可能性があります。マイナンバーカードを所持している方の同意が得られれば、行政に対して住所変更の手続きを行うだけで、民間事業者に対する住所変更手続きは、自動化できるようになるかもしれません。

また、医療機関での診療情報なども自動的に連携できる可能性もあるのです。さらに、預貯金者の口座にマイナンバーを連携することで、その方が亡くなった場合にも遺族が口座の情報を金融機関の窓口で確認できるようになるかもしれません。

こういった処理を実現するためには、民間事業者もシステム対応が必要になります。つまり、民間に求められるのは「データ連携」と「データ活用」です。国や地方自治体などとつながることで、さまざまなデータを連携できるだけでなく、既存のデータと組み合わせることで新たな価値を創出できるかもしれません。
当然、個人情報については、現在よりも厳格な管理が求められる可能性があります。一方で、政府や地方自治体がオープンデータとして便利なデータを提供してくれていれば、便利に活用できる可能性も高まります。

デジタル庁創設の流れと世界の変化から日本の今後を考える

日本ではこのようなデータの活用がようやく動き出したばかりですが、世界ではデータが国の豊かさや国際競争力の基盤になると考えられており、「データ戦略」が次々策定され、推進されています。

例えば、2019年6月にアメリカでは「連邦データ戦略(Federal Data Strategy)」、EUでは2020年2月に「欧州デジタル戦略(European Digital Strategy)」と「欧州データ戦略(European data strategy)」、イギリスでは2020年9月に「国家データ戦略(National Data Strategy)」が策定されました。韓国では、2020年1月に「データ3法」と呼ばれる個人情報やデータ利用についての法律が改正されています。
データは21世紀の原油と呼ばれており、それを燃料として、サービスや技術を動かしていかなければなりません。当然、個人情報の管理などを意識した上で、そのデータをどう活用するのかが官民問わず求められます。

            

 

出典: デジタル社会の実現に向けた重点計画<概要>            



日本は大きく出遅れていると言わざるを得ませんが、IT基本法の見直しからデジタル社会形成基本法の制定など、今後のデジタル庁の業務内容に注目が集まっています。