目次
「Microsoft 365の種類が多すぎて、どれを選べばいいのか、わからない…」
このような疑問を抱える方が増えています。
この背景には、Microsoftによるリブランディング(製品群の名称変更や統合など)の影響があります。
2022年10月、Microsoftは「Microsoft Office」ブランドを2023年1月までに廃止し、「Microsoft 365」ブランドに移行することを発表しました。
従来、異なる名称で提供されていたサービスも「Microsoft 365」の名称に変更されたため、現在、Microsoft 365の種類が数多くある状況となっています。
本記事では、Microsoft 365の種類を次の4パターンに分け、それぞれの概要と各プランを解説します。
|
「Microsoft 365の導入を検討しているが、種類を把握する段階で混乱している」という方のお役に立てる内容となっています。さっそく見ていきましょう。
1. Microsoft 365の種類【Businessプラン】中小企業向け

まず1つめの種類として、中小企業向けのMicrosoft 365である「Businessプラン」があります。
1-1. 中小企業向けMicrosoft 365の概要

出典:Microsoft「Microsoft 365 の紹介」
Microsoftの公式サイトでは、「一般法人向け」または「中小企業向け」と表記されている種類が、該当します(両者は同じもので、Businessプランを指しています)。

出典:Microsoft「一般法人向け Microsoft 365」
この後にご紹介する、大企業向け(Enterpriseプラン)とBusinessプランの違いは、大きく2つです。
|
*1:Power Platformとは、Microsoftが提供するローコード開発プラットフォームです。最小限のコーディングで、直感的に独自のアプリを構築できます。
1-2. 4つのプラン比較
Businessプランは、以下の4つの種類があります。
プラン名 | 月額料金(税抜) (1ユーザー) |
概要 |
Microsoft 365 Business Basic | ¥750 | ●Web 版とモバイル版の Word、Excel、PowerPoint、Outlook のみ ●チャット、通話、会議 (出席者最大 300人) ●ユーザー 1 人あたり 1 TB のクラウド ストレージ ●法人メール ●顧客の予約を管理 ●標準のセキュリティ ●電話/Web サポートをいつでも利用可能 |
Microsoft 365 Business Standard ★おすすめ |
¥1,560 | 上記に加えて: ●デスクトップ版のWord、Excel、PowerPoint、Outlook ●ウェビナーを簡単に開催 ●出席者登録とレポートのツール ●パーソナル設定されたドキュメントとプロフェッショナルなレイアウトを作成するためのツール |
Microsoft 365 Business Premium | ¥2,750 | 上記に加えて: ●高度なセキュリティ ●アクセスとデータの制御 ●サイバー攻撃に対する保護 |
Microsoft 365 Apps for business (アプリのみ) |
¥1,030 | ●デスクトップ版のWord、Excel、PowerPoint、Outlook ●ユーザー1人あたり1TBのクラウドストレージ ●標準のセキュリティ ●電話/Webサポートをいつでも利用可能 |
出典:Microsoft「Microsoft 365 のすべてのプランを比較する」 ※2023年12月現在
1-3. 選び方のポイント
最もバランスがよくおすすめできるのは、「Microsoft 365 Business Standard」です。

出典:Microsoft「Microsoft 365 のすべてのプランを比較する」 ※2023年12月現在
Standardよりも安価なプラン(BasicおよびApps)では、実務では使い勝手が悪いケースが多いでしょう。Basicの場合、デスクトップ版のWord・Excel・PowerPoint・Outlookが利用できないからです。また、Appsのプランでは、チャット・通話・会議や社内サイト構築・情報共有に役立つTeamsやSharePointなどのコミュニケーションを円滑にするためのアプリが利用できません。
一方、Standardより高価なプラン(Premium)では、セキュリティが向上します。
以下の要素を重視する場合は、StandardよりもPremiumが推奨されます。
- サイバー脅威に対する防御
- モバイル デバイス、タブレット、コンピューターを管理
- 安全なリモート アクセスを実現して ID を保護
- エンタープライズ仕様のエンドポイント セキュリティ
選び方に迷ったときは、Microsoftが用意している「Microsoft 365 プラン選択ツール」を試してみましょう。

出典:Microsoft「Microsoft 365 プラン選択ツール」
6分野(会社の規模・仕事のスタイル・コラボレーション・情報保護・デバイス管理・脅威対策)の質問に答えると、最適なプランが表示されます。
2. Microsoft 365の種類【Enterprise】大企業向け

続いて、大企業向けの「Enterpriseプラン」を見ていきましょう。
2-1. 大企業向けのMicrosoft 365の概要

出典:Microsoft「Microsoft 365 の紹介」
前述のBusinessプランの説明で触れたとおり、BusinessプランとEnterpriseプランの大きな違いは、ユーザー数の制限とPower Platformが利用できるプランの有無です。
Enterpriseプランでは、ユーザー数の制限はありません。何千人・何万人規模の大企業でも、利用できます。
2-2. Microsoft 365とOffice 365
Enterpriseプランは、少々複雑な状態になっており、「Microsoft 365」と「Office 365」の2系統のプランが契約できるようになっています。

出典:Microsoft「Microsoft 365 Enterprise のプランの比較」
Enterpriseプランにおける、Microsoft 365とOffice 365の違いについて、Microsoftは以下のとおり説明しています。
Microsoft 365 と Office 365 の違いは何ですか? Microsoft 365 はクラウドファーストの生産性向上プラットフォームです。お客様のビジネスをさらに前進させるインテリジェントなエクスペリエンス、エンタープライズグレードの管理、高度なセキュリティが提供されます。Microsoft Teams、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneDrive などのアプリが含まれています。 Office 365 は Outlook、Word、Excel などの生産性向上アプリとサービスを集めたスイートです。 出典:Microsoft「Microsoft 365 E5」 |
従来のOffice系ツール(Outlook・Word・Excelなど)の利用が主目的であれば、Office 365がリーズナブルなケースもあります。
一方、DX化や高度なテクノロジーを活用した生産性向上を目指す場合、Microsoft 365のプランから選ぶ必要があります。
以下では、[Microsoft 365]のタブをクリックすると表示される3つのプランを、ご紹介します。

出典:Microsoft「Microsoft 365 Enterprise のプランの比較」 ※2023年12月現在
2-3. 3つのプラン比較
プラン名 | 月額料金(税抜) (1ユーザー) |
概要 |
Microsoft 365 E3 | ¥4,500 | ●デスクトップ版とモバイル版のMicrosoft 365アプリ ●大企業向けのWindows ●共有ワークスペース内でのチャット、会議、ファイル共有 ●1TBのクラウドストレージ ●中核的なセキュリティとID管理の機能 |
Microsoft 365 E5 ★人気 |
¥7,130 | 上記に加えて: ●高度なセキュリティとコンプライアンスの機能 ●PowerBIでのスケーラブルなビジネス分析 ●電話会議(出席者最大1,000人) |
Microsoft 365 F3 | ¥1,000 | ●Web版とモバイル版のMicrosoft 365アプリ ●標準のセキュリティ機能 ●コラボレーションと生産性のための中央ハブ ●カスタムアプリでタスクとプロセスを自動化 |
出典:Microsoft「Microsoft 365 Enterprise のプランの比較」 ※2023年12月現在
注意点として、最後の「F3」は、フロントラインワーカー向け(建設や小売などの現場担当者向けプラン)の特殊なプランです。Fプランは「製造」「店舗」現場作業や接客業務などを担当している「専用PC」を所持しないユーザーを対象としているため、コストも少額な分、機能は限定的となります(詳細はフロントライン ワーカー向け Microsoft 365 のプランと価格にて、ご確認ください)。
また、Office 365系統のプランについては「Office 365 Enterprise の価格とプランの比較」にてご確認ください。
2-4. 選び方のポイント
Enterpriseプランのメインとなるのは「E3」「E5」であり、大企業に人気が高いのは「E5」のプランです。
高度なセキュリティとコンプライアンス機能や、PowerBI(強力なデータ分析ツール)を含むことが、そのおもな理由です。
大企業の場合、前述のPower Platform(ローコード開発プラットフォーム)の活用が鍵となることが多いでしょう。
Power Platformで業務の自動化やAIチャットボットの活用、独自アプリの開発などによって、大幅に生産性を向上させることも期待できます。
自社のニーズを整理するためには、「Microsoft 365 プラン選択ツール」を試してみることをおすすめします。
2-5. ベンダー経由の導入
大企業の場合、ベンダー(販売会社)からMicrosoft 365に申し込む契約方法が多く採用されます。
自社のリソースのみで、Microsoft 365導入やシステム開発を実施するのは、難しいケースが多いためです。
Microsoftのサイトからオンラインで直接申し込むのではなく、Microsoft 365の製品を取り扱っている販売会社から申し込むことで、さまざまな付加サービスを受けられます。
たとえば、弊社クエストの場合は、以下のMicrosoft 365導入支援や運用支援のサービスをご提供しています。
【クエストのMicrosoft 365導入支援サービス】
No | サービス名称 | サービス内容 |
1 | 導入支援サービス | アセスメントや移行準備、ライセンス販売、標準利用設定等 |
2 | 環境移行支援サービス | exchange、google、notesからのメール移行支援 |
3 | 認証連携サービス | 社内ActiveDirectoryとの認証連携、認証連携によるSSOの実現 |
4 | 活用支援サービス | SharePoint Online、Viva Engage(旧Yammer)、Teamsなどの利用促進支援 |
5 | ポータルサイト導入サービス | SharePoint Onlineを中心としたポータルサイトの提供 |
6 | ポータルサイト移行サービス | 既存環境からのマイグレーション、旧SharePoint環境からSharePoint Onlineへの移行 |
7 | サポートサービス | 24時間365日1次対応サービス |
3. Microsoft 365の種類【Personal / Family】個人向け / 家庭向け

3-1. 個人および家庭向けMicrosoft 365の概要

出典:Microsoft「Microsoft 365 の紹介」
個人および家庭向けのMicrosoft 365は、かつて「Office 365」の名称で提供されていたサービスと基本的に同じです。
Word、Excel、PowerPointなどの従来のOfficeツールが、サブスクリプション型で利用できるものです。
クラウドベースのサービスとしては、1TB(1ユーザー)のOneDriveクラウドストレージが付随しています。
3-2. 2つのプラン比較
プラン名 | 年額払い (税込) |
月額払い (税込) |
ユーザー数 |
Microsoft 365 Family | ¥21,000 | ¥2,100 | 1〜6ユーザー向け |
Microsoft 365 Personal | ¥14,900 | ¥1,490 | 1ユーザー向け |
出典:Microsoft「Microsoft 365 Family、Microsoft 365 Personal」 ※2023年12月現在
FamilyとPersonalは、それぞれ年額払いと月額払いがあり、年額払いにすると17%OFFとなります。
2つの違いは、ユーザー数です。Personalは1ユーザーのみ、Familyは6ユーザーまで利用できます。

出典:Microsoft「Microsoft 365 Family、Microsoft 365 Personal」 ※2023年12月現在
使用者が1人のみの場合はPersonalプラン、2〜6人の場合はFamilyプランが適しています。
なお、Familyプランの共有制限については、以前は「同居のご家族、 親族ではない同居人、あるいは別居のご家族」といった記載がありました。現在は、このような文言は指定されていません。
一方、「家族や小規模のグループにおすすめ」と明記されています。

出典:Microsoft「Microsoft 365 Family」
たとえば、友人同士など、家族や同居人に限定せず、共有できるようになっています。
4. Microsoft 365の種類【Education】教育機関向け

最後に、教育機関向けのEducationプランを見ていきましょう。
4-1. 教育機関向けMicrosoft 365の概要

出典:Microsoft「Microsoft 365 の紹介」
教育機関向けのEducationプランでは、Word・Excel・PowerPointやTeamsなど、企業向けプランと同様のツールのほかに、教育機関特有の機能が提供されます。
たとえば、費用をかけずにすぐに使用できる教育向けの分析ソリューション「Education Insights」や、児童生徒が自分の感情を認識し、それをコントロールできるように定期的に共有し、話を聞いてもらう機会を提供する「Reflect」があります。
参考:Microsoft「Microsoft 365 Education」
4-2. 3つのプラン(価格は非公開)
プラン名 | 概要 |
Microsoft 365 A1 | あらゆる現代の業務のために作られた、シンプルなデバイスごとの学習ソリューション。 ひとつのダッシュボードですべてのデバイスを管理し、時間を削減します。 |
Microsoft 365 A3 | A1 の全機能に加え、デスクトップアプリ、高度なセキュリティ、分析機能を必要とする教育機関に最適なソリューションです。 |
Microsoft 365 A5 | A3 の全機能に加え、さらにライセンス、セキュリティ、管理ツールが合理化された、Microsoft で最も包括的なプランです。 |
出典:Microsoft「Microsoft 365 Education」
Educationプランは、A1・A3・A5の3つのグレードが用意されています。
価格は、公式サイト上では公開されていません。価格を確認するためには、以下のとおりエキスパートへの相談が必要です。
【Microsoft 365 Education の価格を教えてください】 Microsoft 365 Education には 3 つのグレードがあり、それぞれに便利で包括的な機能が用意されています。 Microsoft の教育向け製品のエキスパートにご相談いただければ、価格設定や、機関に最適な個別プランを構築する方法など詳しくご案内いたします。 出典:Microsoft「Microsoft 365 Education」 |
5. まとめ
本記事では「Microsoft 365の種類」をテーマに解説しました。
|
それぞれのニーズに合わせて、適切なMicrosoft 365の種類を選ぶことで、コストパフォーマンスを高めながら生産性を向上できます。
とくに、企業向けのプランは多様性があるため、プラン選びで判断が難しいケースもあるでしょう。
そのような場合には、サポート企業の助言を受けることをおすすめします。
弊社クエストには、Microsoftの認定資格者が多数在籍しており、具体的なアドバイスが可能です。
【取得資格一覧】

こちらのお問い合わせページより、お気軽にご相談ください。