目次

DX推進の足かせとなるレガシーアプリケーションの存在

DXは多くの企業にとって喫緊の課題であり、その一環としてRPA(Robotic Process Automation)の導入による定型業務の自動化や、クラウドアプリケーションとモバイルデバイスの連携による働き方改革の推進、AIを用いた顧客分析、およびスマートフォンアプリを活用した顧客接点の強化など、さまざまな取り組みが行われています。

これらのデジタル化の施策を推し進めることで、社内業務の効率化をはじめ、既存ビジネスの拡充、そして新規ビジネスの創出を成し遂げた企業の事例も数多く見受けられるようになっています。

その一方で、「DXに取り組んでいるものの、想定したような成果を得られていない」という声も少なくありません。その理由として挙げられるのが、従来の基幹系システムに代表されるレガシーアプリケーションの存在です。先に述べたようなデジタル化された新しい業務/情報系システムとレガシーシステムでは設計思想もアーキテクチャも大きく異なります。したがって、両者の連携が十分に行われておらず、結果、業務プロセスの分断が生じているのです。

DXの真価は、外部環境の変化に応じて柔軟に業務プロセスやビジネスモデルを変更し、次なる企業成長を促していくことにあります。つまり、DX推進による効果を最大限に享受するためには、レガシーアプリケーションを新しいデジタル技術に対応させていかなければなりません。そのための手法が「モダナイゼーション」です。

レガシーアプリケーションのモダナイゼーションとは?

一般にモダナイゼーションとは、既存のレガシーアプリケーションを現在のデジタル技術を用いて刷新したり、置き換えたりすることを言います。なお、モダナイゼーションに似た新しい基盤への移行方法として、マイグレーションがあります。これは、既存のレガシーアプリケーションの構造を大きく変更させることなく、新しいシステムへ移行させることを言います。オンプレミスの基幹系システムのクラウド移設などが、その一例です。

それに対してモダナイゼーションは、レガシーアプリケーションのクラウド移行に留まらず、既存のアプリケーションの構造や開発・運用プロセスを大きく変革することで、デジタル化された業務に最適化させることを言います。具体的には、マイクロサービスやコンテナなどの最新技術を実装したり、開発者と運用者が連携してシステム開発を行うDevOps(Development and Operations)や、ソフトウェアのビルド、テスト、本番環境への展開を自動化するCI/CD(Continuous Integration/Continuous Delivery)などの手法を適用したりすることで、モダナイゼーションを実現します。

レガシーアプリケーションを使い続けることはDX推進の障壁となるだけでなく、企業の競争力を奪うことにもなります。事実、老朽化したレガシーアプリケーションには、その運用負荷/コストの増加のほか、拡張性の欠如による迅速なビジネス展開への阻害、といった多くの問題が生じています。

DXの目的は、ビジネス環境の変化に柔軟に対応し、社内業務を変革するとともに、競合他社との差異化を図る革新的なサービスを生み出すことにあります。レガシーアプリケーションを最新のデジタル技術に対応させるモダナイゼーションが、DX推進には必要不可欠なのです。

真のDX実現のカギとなる、レガシーアプリケーションのモダナイゼーションとは?

モダナイゼーションを実現するための主なアプローチ

レガシーアプリケーションのモダナイゼーションにあたっては、変更の柔軟性、運用の効率化、およびコスト削減を考慮した場合、プラットフォームとしてクラウドを活用することが大前提となるでしょう。そして、クラウドをプラットフォームとしたレガシーアプリケーションのモダナイゼーションを実現する方法には、大きくわけて以下の手法が挙げられます。

①クラウドリフト

これはオンプレミスで運用されている既存の基幹系システムや業務システムを、そのアーキテクチャを大きく変更することなくパブリック/プライベートクラウドへ移行させるという手法です。

昨今では、多くの企業・組織において、オンプレミスのレガシーアプリケーションが仮想サーバ環境上で運用されています。そうした仮想サーバ技術に対応したクラウド移行ツールや支援サービスを提供しているパブリッククラウドサービス事業者やシステムイングレーターも市場には数多く存在しています。したがって、比較的スムーズな移行が可能であるため、クラウドリフトはモダナイゼーションのはじめの一歩と言えるでしょう。

なお、クラウドリフトにあたっては、その必要性や効果を見定めながら優先順位付けを行っていく必要があります。例えば、ハードウェアの更新時期やシステムを停止した際の業務への影響度、ビジネスサイドからの要求などが、優先順位付けの基準となります。

②クラウドシフト

オンプレミス環境からクラウドへ移行するにあたって、先に述べたコンテナなどのクラウドネイティブ技術を用いてレガシーアプリケーションを根本的に作り変えるとともに、DevOpsやCI/CDなどの手法を取り入れることで、開発・運用の手法もアップデートさせていくアプローチが「クラウドシフト」です。

クラウドネイティブなアーキテクチャを用いることで、新しいデジタル化された業務システムとのスムーズな連携が図れるほか、アプリケーションに拡張性や柔軟性、開発の迅速性、そして運用の効率化をもたらされるようになります。

ただし、レガシーアプリケーションを一から作り直すことになるケースもあるため作業負担も大きく、クラウドリフトと比較して難易度が高いことには留意しなければなりません。したがって、一足飛びにクラウドシフトを進めるのではなく、まずはクラウドリフトを実施したうえで、順次、優先順位を定めながら行っていくのが得策と考えられます。

また、クラウドネイティブ技術に習熟したエンジニアの採用、育成といった人的リソースの確保も、課題として挙げられるでしょう。そのため、クラウドネイティブなシステム構築やアプリケーション開発に関して、多くの実績と高い知見を有したシステムインテグレーターの協力を仰ぐことも有効な手立てとなります。

まとめ

DXの推進や企業の競争力向上の原動力となるDXを実現するためには、レガシーアプリケーションのモダナイゼーションが不可欠です。クエストでは、情報通信やエレクトロニクスの業界で培ったクラウドシフトの実績を豊富に有しています。また、企業の効果的なパブリッククラウドサービスへのクラウドリフトを支援するため、AWSの利用に際して、要件定義からシステム構築、移行作業そしてその後の運用までをサポートする「AWS構築・運用サービス」も提供しています。また、Azure上でもシステムの構築や運用のサービスを提供しています。

レガシーアプリケーションのモダナイゼーションを検討されているのであれば、ぜひ一度、当社にお声がけください。