2013年の設立以来、自動車損害保険会社のパートナーとしてのポジションを築いているダイレクト損害調査株式会社。スピードと精度が問われる事故鑑定レポートを独自のノウハウで高品質に仕上げていることが高い信頼へとつながっている。今回、サービス品質をより向上させることを狙って導入に至ったAWSについて、その背景や成果を伺った。今回話を聞いたのはダイレクト損害調査株式会社 代表取締役社長の西田 崇氏、取締役 業務部長の渡部 憲治氏、業務部 担当部長の飯野 隆氏の3名。

「少し特殊な業態」と語る業界の特性から今後の展開まで話は幅広いところまで及んだ。

【お話を伺った方】
ダイレクト損害調査株式会社 代表取締役社長 西田 崇氏(中央)
ダイレクト損害調査株式会社 取締役 業務部長 渡部 憲治氏(左)
ダイレクト損害調査株式会社 業務部 担当部長 飯野 隆氏(右)

課題と経緯
保険契約者の満足度向上のため「想い」を追求

2017年度で4兆円(※元受正味保険料ベース)超えの市場規模を誇る日本国内の自動車損害保険。その役割は万が一の事故の際に、保険契約者に適切な保険金を迅速に支払い、事故による精神的・金銭的な負担を軽減することにある。しかし、適切かつ迅速に支払いをおこなうためには正確な評価が欠かせない。その役割を担っているのがダイレクト損害調査である。

「私たちの事業内容はシンプルにまとめれば『車が起こした事故の内容を適切に、速やかに評価すること』です。事故の範囲は時に、ガードレールなど道路の付帯物にも及びます。そういう部分も含めて鑑定してレポートにまとめ、保険会社へ提出しています。」と西田氏は述べる。

ダイレクト損害調査株式会社
代表取締役社長
西田 崇氏

保険会社に提出するレポートはスピードと精度が要求される。それは保険会社が適切かつ迅速に、保険契約者に支払うことが満足度に直結するためであり、保険会社として精神的・金銭的な負担を軽減するというミッションが存在するからである。保険会社をクライアントとする同社にとっても、その想いは共通する。自分たちの鑑定結果が契約者の生活を左右しかねない。そういった強い使命感に基づいて、日々の業務と向き合い取り組んでいる。

そのような使命感もさることながら、ダイレクト損害調査はクライアントから3つの点で評価を受けている。一つは日本国内にネットワークを有しているということ。鑑定をおこなう「技術アジャスター」の中で、昨今ニーズが高まってきている独立鑑定人として活動している技術アジャスターは個人事業主が多く、組織的な立ち回りができない。同社が介在することで日本各地の事業主と連携を図れるのだ。次に、日本損害保険協会登録の技術アジャスターが多数所属していること。優秀なアジャスターが社員、業務委託の形態で全国を日々飛び回っている。そして最後に、個人情報管理における堅牢性だ。保険業界は金融庁管轄ということもあり、個人情報の管理についてはシビアである。組織的に管理されている点がクライアントから評価を受けているのだ。

その高い堅牢性を誇るシステムの再構築をクエストは担当することとなった。

導入
事業の成長を考慮し、拡張性のあるAWSを選択

ダイレクト損害調査とクエストの取り引きが始まったのは2015年に遡る。同社クライアントからの紹介で直接指名を受ける運びとなった。しかし、最終的な発注が決定したのは要件定義段階のことだった。当時を西田氏はこのように振り返る。

「システムの再構築にあたり、サーバ選定がネックとなっていました。というのも、私たちとしてはコストや拡張性などを考慮してクラウドを利用したいと考えていましたが、当時はまだまだクラウドに対して金融業界でネガティブな反応が見られました。そこで私たちとしては説得材料を用意する必要がありました。クエストはその材料の準備に、発注前にもかかわらず尽力してくれました。その資料でクライアントからも納得を得ることができました。また、オンプレミス、ホスティング、クラウドでの比較表をもとに、当社の選択すべき道筋を示してくれた点も評価しています。私たちの事業を理解し、寄り添う姿勢が感じられたのです。もともとクライアントからの評価を聞いていたこともあり、発注を決断しました。」

2013年に創業しそれまで順調に事業を発展させてきた同社だが、再構築前には自社サーバを所有していなかった。物理的なサーバを所有することは一定の安心感も得られるが、保守・運用面や拡張性、そして何よりもBCP(Business Continuity Plan)の観点からするとデメリットのほうが同社にとっては大きいとクエストは判断していた。まだ数十人という同社の規模感から判断してもオンプレミスで再構築するという選択肢は考えられなかったのだ。

ダイレクト損害調査株式会社
業務部
取締役 業務部長
渡部 憲治氏

「東日本大震災に続き、熊本でも大地震が発生しました。物理的なサーバを社内に置く場合、そうした災害リスクを考慮した構成としなければならずコストが膨らみます。また、当社では今後、より使いやすいシステムへと改修していくことを考えています。その場合、CPUやメモリの増設に上限があるオンプレミスだと改修時の拡張性が制限されてしまいます。私たちは取り扱いやすいシステムを所有せずに利用することで、クライアントである保険会社、そしてそのお客様である契約者の方の満足度向上につなげたいという想いがあります。そのためにも、可能性が広がるクラウドを選択したいと考えたのです。」と渡部氏はクラウド選択の背景にある想いを語ってくれた。

クラウドベンダーの選定にあたり、クエストは客観的視点からAWSを推薦した。その理由として、サーバの新規構築のスピード感や拡張性などもあるが、何よりも金融業界における数々の実績を有していることが一番大きい。金融業界における実績はダイレクト損害調査の先にいるお客様に安心感を与えられる。

最終的に初期コストはオンプレミスでの構築想定と比較すると約2分の1に抑制できている。AWSを選択すべきかどうかは個々の事案による。一事が万事、AWSを採用すべきとは言わないが、マッチすると事業に与えるインパクトは大きい。今回のケースまさに、コスト面だけでなくさまざまなメリットを享受できた模範例といってもいいだろう。



効果と展望
新たな再構築で「三方よし」を目指す

ダイレクト損害調査株式会社
業務部 担当部長
飯野 隆氏

リリース以降、飯野氏の統括のもとでクエストがAWSの保守・運用・監視をおこなっている。なお、リリース後の成果について飯野氏は「今回の再構築によってあらたな意思決定を可能とするデータ分析もおこなえるようになるなど、サービス品質向上のための可能性が増えました。」との評価をしている。

そして今後、新たな再構築の検討も進められている。

「今後実現したいこととして、技術アジャスターの報告負荷軽減の為のインターフェイス改善とさらに、データベース化を進めることで、保険会社とのさらなるシステム連携の可能性も模索していきます。」と西田氏は未来を見据える。

ダイレクト損害調査が実現を目指す、技術アジャスター、保険会社、そして同社にとってメリットがあるシステム。「三方よし」という近江商人の言葉を出すまでもなく、そのシステムの実現は保険契約者も含め、この社会にとっても大きな意義のあるものとなるのではないだろうか。クエストはその裏側を支えるパートナーとしてこれからもダイレクト損害調査と歩みをともにしていくつもりだ。

取材日:2019年2月25日

会社概要

ダイレクト損害調査株式会社

会社名 ダイレクト損害調査株式会社
設立 2013年7月1日
売上高 9億12百万円(2018年6月期)
従業員数 42名
委託鑑定人
114名(2019年6月1日時点)
事業内容 (1) 各種損害保険の損害調査
(2) 各種損害保険の損害の原因調査

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