政府が掲げる生産性向上などの流れを受け、注目が集まるRPA。大幅な業務効率化が実現できる取り組みとして、さまざまな分野で導入が進められています。しかし、RPAという言葉は聞いたことがあっても、その詳しい仕組みや導入の手順については、あまり知らないという人も少なくないのではないでしょうか。今回のコラムでは、RPAに関心はあるものの、詳しく知らないという人を対象に、RPAの概要や導入によってもたらさられるメリット、効果などについて解説していきます。

RPAの導入は「ロボット社員」を迎え入れるということ

RPAとは「Robotics Process Automation」の略のこと。これまで人間がパソコンでおこなっていた定型的な作業をソフトウェアが代替し、自動的に業務をおこなえるようにすることです。ロボットというと、自動車工場などで利用されている産業用ロボットや、受付などの役割を果たすヒューマノイドタイプのロボットを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、RPAにおけるロボットとは、あくまでソフトウェアで実現されているもので、物理的な姿、形を持つものではありません。

RPAのソフトウェアは、いわば指示されたことを忠実にこなす新入社員ロボットみたいなものと考えるとイメージしやすいかもしれません。ただし、あくまでも教えられたことしかできず、教えられていない作業をおこなうことはできないところが人間とは異なる特性となります。

最近、注目が集まるAIですが、その多くはディープラーニングの代名詞として利用されています。Googleが開発した「AlphaGo」やIBMの「Watson」などといった名前はメディアでもよく取り上げられるので聞いたことがある人も多いはずです。AI、すなわち人工知能はこのディープラーニングという革新的な技術の登場により大きな転換期を迎えました。以降、飛躍的に技術発展が進み、応用分野も年々広がっています。

ディープラーニングで特徴的なのは、用意した学習データからルールを自ら見つけ出すということ。例えば、猫の写真を大量に用意してディープラーニングに学習させると、それらの写真が猫の写真であるということを学習し、判別できるようになるというものです。学習量を増やすほど精度が高まっていきます。ディープラーニング登場以前に主体であった機械学習ではこのように自動的にルールを導き出すことはできず、あくまで人間が「教師データ」と言われる模範回答とルールをセットで学ばせる必要がありました。

RPAはこの機械学習に近いものと考えるとわかりやすいかもしれません。RPAでは代替する業務を分解し、人間がルール化していきます。そのルールを学ばせたあと、自動化が実現するというものです。しかし、現段階はこうした流れで進めていく必要がありますが、将来的には高度なAIを搭載し、より融通の利く自動化を実現するRPAツールが主流になっていく可能性も十分考えられます。













RPA導入による最大のメリットは人件費の削減

RPAを導入することで、企業にはどのようなメリットが得られるのでしょうか?得られるメリットは多岐にわたりますが、中でも最大のメリットといわれるのが、業務効率化による人件費の削減です。RPAの維持・運用コストは人件費よりも安価のため、これまで人間がしていた作業をRPAのソフトウェアが代替することで人件費の削減につながります。ソフトウェアが作業をするため、当然ながら人間とは異なり操作ミスもなく、処理自体も非常に高速です。病気になることもなく、24時間不眠不休で働いてくれますので、業務効率は大幅に高まります。また、作業時間が前後するようなこともなくなります。

操作ミスがないという点も非常に魅力的なもののひとつです。例えば、Excelでシートから別のシートへデータをコピー&ペーストするといった単純な作業を繰り返す場合、人間による作業だとペースト先をミスしてしまう可能性がゼロではありません。そのような場合、ミスを探し出すのにも一苦労、多くの時間を浪費しがちです。しかし、RPAで作業をおこなえばこのようなミスは発生しないので、ミスを発見して修正するために時間を要する、といったことがありません。他にも、季節によって作業量が大きく変動するような業務の場合、作業量に応じて人員を確保・調整するというのはかなり難しいことですが、RPAなら作業量に応じてロボットの稼働をコントロールすることで柔軟に調整できます。

また、RPAに単純作業をさせることで、貴重な人材の業務時間をより創造的なものに振り向けることができるようになります。単純作業をおこなうことは、意欲的な従業員のモチベーションを下げるだけでなく、そうした作業が継続すると、創造的なものの考え方もできなくなります。一時期、ウェブメディアではAIの進化により人間の業務の多くが代替されていくという記事が掲載されるたびに、人気ランキングの上位にAIが位置していました。それほど、テクノロジーの進化に危機感を持っている人が多いということでしょう。

AIに代替されない業務とは「創造的な業務」と「感情が伴う業務」と言われます。こうした人間にしかできないとされる業務に従業員を注力させることは、不安定で未来が描きづらいと言われる現代において、従業員の不安要素のひとつを取り除くことになります。また、AIで代替できない業務スキルを磨くことは、自身の業務に対して誇りを持つことにもつながるのではないでしょうか。そうした業務に携わる機会を提供した会社に対して帰属意識が高まることも期待できるかもしれません。このように、働くことへのモチベーションを向上し、人材離脱のリスクを回避できることもRPA導入の副次的な効果のひとつと考えることができます。

RPA導入で一番大事なのは事前の準備

次に、RPAを導入する手順の概要を説明します。RPAの導入手順は、以下のように大きく3つのフェーズに分けることができます。

 ・導入検討・準備フェーズ

 ・導入・運用フェーズ

 ・拡大フェーズ




特に重要となるのが、「導入検討・準備フェーズ」です。このフェーズでは、RPAの適用範囲を明確化することがテーマで、RPA化できる業務の洗い出しと可視化、RPAツールの選定などをおこないます。このときに、導入効果を検証するPoC(概念実証)を経る企業が増えています。PoCでは、特定の事業所や部署に限定して、RPAを試験的に導入し、その結果を分析します。

PoCの結果、導入が決定したら、次の「導入・運用フェーズ」に移行します。導入・運用フェーズのテーマは、RPAの導入と定着です。業務に応じたルールを作成して、運用を開始します。導入・運用フェーズでは、RPAの導入効果を定量的に分析することも大切です。導入効果の検証によって、RPAの導入効果が大きいことがわかれば、次の拡大フェーズで本格導入に移行することになります。拡大フェーズでは、業務内容の変化に合わせ、ルールをメンテナンスすることも重要になります。

RPAの導入成功には、最初から全社で導入するのではなく、まずはPoCをおこない、その結果を見て段階的に導入範囲を広げていくことが大切です。

RPAに適しているのは「繰り返す」業務

RPAを適切に導入することで、業務の効率化や操作ミスの予防、人材離脱のリスク回避など、さまざまなメリットが得られます。しかし、どんな業務でもRPAを導入すれば効果が得られるというわけではありません。RPAに適した業務と適していない業務があるのです。RPAに適した業務は、以下の条件を満たすものです。

 ・ルール化が可能

 ・繰り返しが多い

 ・パソコンの画面上で作業が完結する




RPAのソフトウェアは、人間が定めたルールに基づいて動作します。従って、ルール化が可能ということが最初の条件です。また、同じことを何十回、何百回と繰り返しおこなう業務は、RPAが得意とするところです。RPAに任せれば、人間が繰り返しおこなう作業で発生する作業漏れやミスを防ぐことができます。さらに、パソコンの画面上で作業が完結することも重要です。例えば、Excelを使った集計作業などは、パソコンの画面上で作業が完結するので、RPAに適しています。

他にも、マーケティングや経理、営業部門などではRPAに適した業務がたくさんあります。

マーケティング部門

インターネット経由で取得した顧客アンケートの集計や、ネット上の自社製品の口コミを自動的に収集するといった業務はRPAに適した例の一つです。他にもウェブサイトの解析ツールなどからデータをダウンロードし、レポートフォーマットに落とし込むような業務も考えられます。

経理部門

伝票データのシステムへの入力作業や帳票の作成作業。他にも、請求書や領収書から支払伝票として計上すべき金額を自動的に取得して会計システムへ反映するといった業務が、RPAに適しているものといえるでしょう。

営業部門

営業レポートの作成や受注伝票のデータベースへの取り込みなどの業務。また、SFA(営業支援システム)などからダウンロードしたデータを閲覧用にレポート化する、といったことをRPAによって自動化することができます。

RPA導入のメリットは大企業だけではない

ここまで説明してきたように、RPAの導入にはさまざまなメリットがあります。人件費や人為的なミスを大きく減らせるだけでなく、データ起点にスピード重視で経営判断をおこなう先進企業のように、RPAと他ツールとを連動させることでシームレスな自動化と可視化を実現し、重要な経営判断をおこなえるようになるのです。すなわちRPAは、攻めの経営を実現するためのツールともみなせるのではないでしょうか。なお、クエストでは情報システム周辺の運用管理業務においてもRPAを活用した自動化を推進しています。

他にも、今回説明してきたように、RPA導入のメリットである人手不足の解決、作業効率の追求、モチベーション低下の予防というのは、今まさに新しい一歩が必要な中小・零細企業こそ求められているのではないでしょうか。デジタルトランスフォーメーションという言葉が聞かれるようになって久しいですが、RPAはまさに経営刷新の大きな一手となり得るのかもしれません。

さいごに

RPAの導入は、社員を単純作業から解放し、自社へのエンゲージメントを向上させる効果もあります。いわゆる働き方改革を推進するための基盤作りにも貢献します。今後も、RPAを導入する企業はますます増えていくことが予想されます。いわば、激化する競争を勝ち抜くためにもRPAの導入は必須といえるかもしれません。大企業で積極的な導入が進むRPAですが、先に挙げたようなメリットへの期待は中小企業も同様のはずです。特に、採用難と言われる昨今において、RPAの導入が人材離脱のリスクを低減するのであれば、それだけでも大きな価値だといえます。業務効率化だけでなく、さまざまなメリットが得られるRPA。ビジネスの効率性が求められる今、中小企業でも前向きに検討すべき時代になりつつあるのではないでしょうか。

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