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ChatGPTとは

ChatGPTは、OpenAI社が開発した大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)を、対話形式で利用できるサービスです。インターネット上から収集した5兆語とも言われる多量なテキストを学習しており、幅広いトピックやタスクに対して自然な文章を生成し、あたかも人間と会話しているような回答を得られるのが特徴です。曖昧な質問に対しても柔軟に対応できるため、ビジネスの場でも活用できることが期待されています。

ChatGPTのイメージ画像

チャットボットの歴史

ChatGPTはAIチャットボットと形容されるケースが多く見られますが、いわゆる自動応答プログラムとしてのチャットボットの研究は1960年代まで遡ります。

当初のチャットボットは、パターンマッチングと呼ばれる手法を用いており、特定の単語を質問されたら、何を返答するかというルールを定めたものでした。
例えば、Eコマースの顧客サポート用チャットボットを想定すると、質問に「送料」という単語があれば、送料に関する案内を返すといった考え方です。

ビジネスの現場では、顧客サポート、予約の管理、情報の提供といった特定の目的・タスクに回答できるシステムとしてチャットボットの利用が増えています。事前に定めたルールに基づいてユーザーに選択肢を提示するシナリオ型の手法や、過去の履歴や知識に基づいた機械学習技術を活用するなどして、精度を高めてきました。

さらに、音声認識・音声合成の技術と組み合わせて、ゲームやスマートフォン向け音声アシスタント、スマートスピーカーへと進化を遂げました。

シナリオ型AIチャットボットとAIチャットボット、チャットGPTの違いを説明した図版

ChatGPTの大規模言語モデルと、AIチャットボットの技術的な違い

ChatGPTは、近年のデータ分析・人工知能技術の発展によって実現された大規模言語モデル(LLM)に基づいているのが特徴です。そのため、機械学習を導入した従来のチャットボットとは技術的に異なる点があります。

チャットボットは一般的に「教師あり学習」で、回答のチューニングを行います。業界用語や企業特有の文言、あるいは表現のゆらぎに対応できるよう、FAQデータなどを学習させ、特定の文言に正しい回答ができるよう改良していきます。

一方、大規模言語モデルでは膨大なデータを「教師なし学習」で分析し、単語同士のつながりをモデル化します。そして、読み込んだ質問に対し、統計的に正しく聞こえる文章を生成する流れです。

大規模言語モデルはOpen AI社が構築したもの以外にも、いくつか開発されていますが、ChatGPTが採用した大規模言語モデルでは、RLHF(人間のフィードバックに基づく強化学習)によって、より回答の精度が高まったと考えられています。RLHFでは、人間の研究者が質問と回答の対となる学習データを作成し、人間の嗜好を学習させ、よりユーザーにとって自然と思える文章を生成できるようモデルを調整しました。

ChatGPTとチャットボットをどのように使い分けるか

ChatGPTと従来のチャットボットは、その仕組みの違いから、それぞれ長所・短所が存在します。その特徴が活かせる場面で使い分けるよう考慮するべきです。

(1)ChatGPTの活用が期待できる場面

ChatGPTは、膨大なテキストを学習しているため、様々な領域に関する質問へ対応できます。事前に決めたルールに従うものではないので、より汎用的な用途で使用可能です。また、言い回しを丁寧にするなど、文脈を理解させられる特長から、人間らしいコミュニケーションが必要な場面でも応用できます。

ChatGPTのような大規模言語モデルは主に要約・推論・変換・拡張といった目的に使われます。

要約:各種調査と分析、議事録作成
推論:文章の感情分析、キーワードの抽出
変換:翻訳、校正
拡張:メールやニュースレターの作成、アイデアの創出


一方、ChatGPTを利用する上では、全ての質問に正しく回答するわけではない点に注意が必要です。大規模言語モデルの特性から、統計的に確からしい文章を生成してしまうため、分からないものを「分からない」と回答するのではなく、あたかも本当に見える回答をしてしまう傾向があります。ビジネスで使用する場合には、その回答内容について検証する必要があります。

(2)チャットボットの活用が期待できる場面

ビジネスで活用されているチャットボットは、いわゆる「タスク指向型」と呼ばれる仕組みであり、特定の分野に関する質疑に強みを発揮します。FAQデータなどに基づいて構築されるので、一貫性のある回答が重視される場面に適しているのが特徴です。

顧客サポートや特定の商品・サービスに対する質問、社内ヘルプデスクといったユースケースが考えられます。また、事前にシナリオを定義しておけば、問い合わせ番号から配送状況を追跡する、返品の手続きを行うといった定型的な業務の遂行も可能です。

一方、チャットボットは、事前に設定されたルール以外の質問には対応できません。これまで想定されていなかった状況や、特定のキャンペーンに対する応答といった場面では、チャットボットから担当者への対応へ移すプロセスを検討しておかなければなりません。

ChatGPTとチャットボットの活用における注意点

ChatGPTで求める回答を得るには、適切な質問を投げかける必要があります。この質問(プロンプト)を作成する手法は「プロンプト・エンジニアリング」とも呼ばれ、今後、注目が高まるスキルとも考えられています。何の文脈で、どのような形式の回答が欲しいか、といったように質問の仕方を工夫すると共に、何度か質問を深掘りして回答の精度を向上させていく態度が求められています。

ChatGPTは、オンライン上の情報に基づいていますが、その学習データ自体が誤っていたり、不適切な表現が含まれていたりする可能性があるので、その回答も不正確になるリスクがあります。また、現在のChatGPTでは、プラグイン等を使わない限り最新の情報に対応できません。そのため、回答を対外的な資料に使う場合などは注意が必要です。加えて、有料プランの登録や、APIを介してサービス連携してChatGPTアプリを公開するケースでは、運用に要するコストを計算しなければなりません。

チャットボットを活用する上では、実運用までに、ある程度の時間を要する点が挙げられます。「教師あり学習」で精度を向上させるチャットボットでは、十分な量の学習データがなければモデルのチューニングができません。PoC(概念実証)の段階で、誰がどのような質問をしてくるのかという情報を収集するなどしてから実運用へ進む手順をとる方法が推奨されます。

最後に

ChatGPTのようなAI技術を活用して生産性を向上させるのは企業の業務によって欠かせないものになっています。活用方法を積極的に探っていかなければ、競合企業から後れをとる可能性も高くなります。それぞれの技術の特性を把握し、個々の業務に適した活用を考案できるかどうかが、競争力を維持する鍵となっていくかもしれません。

クエストのAIチャットボットサービス

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シナリオ型AIチャットボットとAIチャットボット、チャットGPTの違いを説明した図版

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