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メタバース、ローカル5G、Web3.0(Web3)の関連性

NFTの説明図

ビジネストレンドとして注目が強まるメタバース

VRデバイスを用いるメタバース空間を体験したユーザーの中には“その空間に住んでいる”と感じてしまうほどの没入感があるそうです。
また、メタバース空間ならではの特長として、現実世界の制約を超えたユーザー体験や実証実験等ができる点はメタバースの大きな魅力といえるでしょう。

現実世界における物理的・空間的な制約に加え、外見・身体的要素は、ビジネスや普段の社会生活のあらゆる場面において強い影響を及ぼしています。
これらの制約を超えることができるバーチャル空間の活用はビジネスや社会にある多くの課題を解決することが期待できます。実際にメタバースはゲームやイベント、コミュニケーションプラットフォームとしての活用に留まらず、消費行動から都市の実証実験まで、活用用途は多岐にわたっています。

メタバース空間の普及を支える通信インフラ「5G」

過去にメタバースの普及や発展において大きな障害となっていたのが、“通信回線の問題”です。この通信回線の問題を解決する鍵が5Gです。

5Gは従来の4Gと比較し、通信速度と同時接続台数の値が桁違いと言われています。5Gインフラはスマホの使いやすさの飛躍的向上に留まらず、社会システムに影響を与えるほどのインパクトがあります。

ただし、現在の5G通信には大きな課題があり、遮蔽物に弱い点や通信の到達範囲が短いこと、基地局の設置数が十分でない点などにより、本来の5Gの力を発揮できていません。しかし、世界的に5Gへの設備投資が進んでおり、徐々にこのような課題も改善されていくことでしょう。

また、通信事業者が展開する5G通信サービスとは異なり、地域や企業が主体で自らの建物、施設、敷地内などに限定して自営の5Gネットワークを構築・運用できる“ローカル5G”という仕組みが徐々に活用されはじめています。高速・低遅延通信のローカル5Gの活用が企業や地域で広がることで、今後メタバースやデジタルツインの発展を支える基盤が充実していくことが期待できます。

メタバースを加速させるWeb3.0とブロックチェーン技術

ローカル5Gに加え、メタバースに関連して注目されているのがWeb3.0(Web3)です。

Web3.0の技術基盤とされるブロックチェーンで管理されるNFT(非代替性トークン)は、メタバース空間で取引される土地、アイテムの信用性担保において欠かせない要素です。これにより、例えばアバターの乗っ取りを防いだり、メタバース上で売買される商品の唯一性を証明できたり、現実世界に近い所有と売買という概念をメタバースの世界に組み込むことができます。

このことからメタバースとWeb3.0の結びつきは強く、Web3.0のテクノロジーが発展することで、メタバース空間の進化もより加速していくでしょう。

メタバース、5G、Web3.0、各トレンドのポイント

冒頭で紹介した、メタバース、ローカル5G、Web3の各技術トレンドについて紹介していきます。

ブロックチェーンを技術基盤としたWeb3.0

まずWeb3.0ですがブロックチェーン技術を基盤とした非中央集権的な次世代の分散型インターネットと称されています。
非中央集権=中央管理者を介さないブロックチェーン技術を基盤としている要素や技術は色々とありますが、その中でも代表的な例がNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)やDAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織)です。

NFTは、代替えが不可能なブロックチェーンを利用してできた改ざん・偽造ができない唯一無二のデジタルデータでデジタル資産の所有権を証明します。
NFTの売買は盛り上がりを見せていてNFTによるコピー不可能なデジタルアート、ゲーム、スポーツ選手やアイドルのデジタルトレーディングカードなどが取引されています。その取引の場となるマーケットプレイスには国内の大手IT企業も参入しています。

NFTの説明図

また、DAOとはブロックチェーン上で人々が平等に意思決定から携われる非中央集権的な組織を指します。このDAOの考えに基づくブロックチェーンベースのゲームプラットフォームが登場しています。
仮想のゲーム空間内でコミュニケーションや土地(LAND)、NFTの取引などを通じて様々な活動ができるのですが、DAOによるユーザー主導の運営体制で行われている点が特徴です。

関連ページ:今さら聞けないWeb3.0(Web3)とは?Web3.0が登場した背景からユースケースまで

コミュニケーションプラットフォームとして活用されるメタバース

そして、このゲームが行われている空間がメタバースです。メタバースとは、ユーザー同士が交流できる仮想空間であると言われます。
このゲームプラットフォームではメタバース内で使われる独自のトークンやLANDなどを一定数所有しているユーザーが、組織内の意思決定活動を行うガバナンスに参加でき組織の運営に携わることができるようになっています。

メタバースが持つ特徴の一つとして、現実世界との連動があります。
例えば、VR(仮想現実)で没入的な体験をする使い方は普及が進んできました。バーチャルSNSやソーシャルVRなどと呼ばれる3D空間でコミュニケーションが楽しめるVR・メタバースプラットフォームも登場しています。仮想空間にコンテンツがつくれてその中で集まれて遊べるという要素を持っています。VRを活用することでアバターを通じた身体性を伴った、よりリアリティのある体験ができることが特徴です。

メタバースのイメージ図

VR・メタバースプラットフォームのイメージ図。メタバース内ではライブイベントに参加するなど様々な体験ができる。

小売業でもメタバースの活用が進んでいます。国内大手百貨店ではVRを活用したスマートフォン向けアプリの提供を開始しています。アプリは店舗がある街を再現した仮想都市のコミュニケーションプラットフォームになっており、その中にある仮想の百貨店でバーチャルショッピングを楽しむことができるようになっています。

関連ページ:メタバースがビジネスにもたらすインパクトとは

導入が進むローカル5G

すでに活用が進み今後ますます利用が伸びていくであろうメタバース。その実現や安定した利用のためにはネットワークインフラの環境整備が必須になります。そこで大きな役割を果たすものとして注目を集めるのがローカル5G(第5世代移動通信システム)、または5Gです。5Gは高速・大容量通信を可能にするものとして知られていますが、通信事業者ではない企業や自治体が個別にネットワークを構築できるローカル5Gも実証実験が進められ、導入が進み始めています。

関連ページ:新たな産業を支える可能性を秘めるローカル5G

メタバースでショッピングを楽しむい様子

売り場のイメージ図。

メタバースでショッピングする様子

バーチャルショッピングのイメージ図。VRを使用してメタバース上で買い物ができる。

さいごに

最後にまとめとなりますが、次世代の分散型インターネットであるWeb3.0はその技術的基盤として改ざんが非常に困難なブロックチェーンがありその代表的な例がNFTです。メタバースと融合しデジタル空間上のアイテムをNFTとして売買するプラットフォームも登場しています。そして、より良いメタバース体験を提供するためには高速・大容量・低遅延の5G(第5世代移動通信システム)通信が欠かせません。特に、独自の通信網を構築できるローカル5Gがメタバースを実現するインフラとして機能することが期待されています。これまで見てきた通り、Web3.0とメタバース、ローカル5Gは相互に関連しており、それにより新たな価値やテクノロジーが生み出される可能性があるのです。

Web3.0、メタバース、ローカル5Gについて、詳しい内容を各コラムで説明していますので、ぜひ参照ください。