新型コロナウイルス感染拡大を機に急激に普及したテレワーク。感染第二波や自然災害に備え、緊急事態宣言解除後もテレワークを継続する企業も少なくありません。テレワークはニューノーマル時代の新たな働き方として定着しつつあります。ワークスタイルの劇的な変化に伴い、オフィスに求められる役割も大きな変化を遂げました。withコロナにふさわしい事業継続や生産性向上を実現するオフィスを改めて考えてみました。

約7割の企業がオフィスの見直しを検討・実施

少子高齢化による深刻な人手不足の解消や、労働生産性の向上などの目的で、コロナ騒動前からテレワークやフリーアドレス制※を導入する企業が少しずつ増えていました。2020年4月7日の緊急事態宣言発令を機に、多くの企業が在宅勤務を余儀なくされ、テレワークが急激に拡大しました。

緊急事態宣言は解除されたものの、新型コロナウイルス収束の目途は未だに立っていません。コロナ禍に限らず、地震や台風など自然災害が多い日本では、出社しないことを想定した事業継続計画が必要とされています。

こうした背景から、withコロナの新たな働き方としてテレワークが定着しつつあります。働き方の変化に伴い、オフィスの役割を見直す企業も少なくありません。『月刊総務』の調査によると、約7割の企業がコロナ禍を機にオフィスの見直しを実施・検討したと回答しています(図1)。

図1 新型コロナウイルスによるオフィスの見直しについて


テレワークは、通勤時間がゼロになる、業務に集中できるなど、たくさんのメリットがあります。しかし、その一方で、「業務に最適な執務環境があるので集中できる」「気軽な相談や打ち合わせができる」などの理由で、オフィスのほうが働きやすいという声も。

これらの声から、今後の働き方は、「テレワークとオフィスの融合」が主流になると予測できます。オフィスの役割は「同じ時間、同じ場所に集まって働く場」から、「コミュニケーションに最適な場」へと見直す時代に突入したのです。

※フリーアドレス制とは…社員1人ひとりが自分専用の固定席を持たず、自由に働く席を選択し作業するオフィススタイル。

従業員エンゲージメントを高めるオフィス環境と働き方

社員の裁量でオフィスや在宅など、働く場を自由に選択できる企業は、 従業員エンゲージメントが高い傾向にあります。 従業員エンゲージメントとは、従業員が仕事に対して感じている充実感や就業意欲などのことで、従業員エンゲージメントの高い企業は、優秀な人材の流出を防ぐことができます。従業員の生産性の向上・業績の向上につながることから近年注目を集めている概念です。

オフィス環境の整備は、 従業員エンゲージメントを高めるための重要な施策の1つ。一般社団法人 日本オフィス家具協会が、首都圏で働く会社員約5000人に「オフィス環境に対する期待」のアンケートを実施しました。約7割の人が、オフィス環境の良し悪しは、仕事の成果やモチベーションに大きな影響を及ぼすと回答しています(図2)。


アンケート結果からもわかるように、withコロナ時代のオフィスには、フリーアドレス・グループアドレスの導入や、時と場合により働く場を自由に選べることが望まれます。実際に大手IT企業では、仕事と生活の質を高める目的で、グループ企業を含めた社員約8万人の勤務形態を原則テレワークへと移行しました。各自の業務やライフスタイルに合わせて、オフィスや在宅など働く場を自由に選ぶことができます。それに伴い、全オフィスをフリーアドレス化し、数年以内にオフィスの規模を現状の約50%に縮小する方針です。

大手オフィス家具メーカーは、社屋移転の際に、複雑化した業務の生産性向上や部門間の連携強化の目的で、オフィスレイアウトの抜本的な改革を実施しました。同社のオフィスは、1人で集中して作業を行うデスク、電話・Web会議用の専用ブース、ミーティングルームなど、社員の働き方に合わせ様々な執務スペースを用意しています。オフィス改革に伴い、働く場も社内、在宅、カフェ、コワーキングスペースなど自由に選べるようにしました。その結果、社屋移転前と比較し、社員の業務生産性が大幅に向上したのです。

オフィスの万全な感染防止対策も必要

オフィスの見直しの際は、感染防止のため人と人との距離を2m以上空けるソーシャルディスタンスを考慮しなければなりません。旧来の島型レイアウトでデスクを配置する場合は、左右1席分空けて座ったり、向かいは空席にしたりすることで距離が保てます。オフィスが狭い、出社人数が減らせないなどの理由で、2m以上の間隔が確保できないときは、左右や対面にパーテーションを設置し、飛沫感染の防止も必要です。

社員のテレワーク比率の増加に伴い、オフィス縮小やコスト削減の目的でフリーアドレス制を検討する企業も増えています。フリーアドレス制は、柔軟な働き方や社員同士のコミュニケーション活性化に有効なオフィスレイアウトではあるものの、感染者が発生したとき、接触者の特定が難しいという欠点があります。フリーアドレスを導入予定の企業は、社員が使用した机や立ち寄った場所を常に記録し、万一、感染者が発生した場合は接触者を容易に特定できる状態にしておきましょう。感染防止には、机や椅子などオフィスの備品を使ったあとの消毒や定期的な換気も欠かせません。

多様な働き方やオフィス改革を推進するITツール

作業内容や働き方に合わせ、柔軟に働く場を選べるオフィスを整備するにあたり、ITは必要不可欠なツールです。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが、2020年7月に451社507名の人事担当者に「withコロナ環境下で検討したい人事施策」のアンケートを取った結果、55.6%が「業務のIT化とデジタル業務の推進」と回答しています。最後に業務のIT化とデジタル化推進に役立つ代表的なツールを紹介します。

業務に最適なモバイルデバイスの支給

近年、オフィスのインターネット環境は無線LANが主流となったため、多くの企業が社員にノートPCを支給しています。しかし、ノートPCは高性能な機種は重量があり、持ち運びに適していない面も。一方、タブレットは携帯性に優れているものの、ノートPCと比べてメモリやストレージなど性能が劣る点は否めません。それぞれの特性を理解した上で、社員の職務に応じて最適なモバイルデバイスの支給が必要になるでしょう。



業務のデジタル化に役立つクラウドサービスの利用

紙ベースの業務が足かせになり、テレワークや多用な働き方が実現できない企業も少なくありません。そればかりか、重要な経営判断や業務遂行の妨げになる恐れもあります。企業競争力を底上げするためにも、業務のデジタル化にクラウドサービスの利用は必要不可欠です。実はクラウドサービスは、ZoomやTeamsなどコミュニケーションツールだけでなく、文書管理や各種書類の電子化にも役立つツールがたくさんあります。自社の業務に最適なクラウドサービスを選んでみてください。


ネットワークインフラの整備

テレワークによるVPNへのアクセス集中やクラウドサービスの利用拡大などで、ネットワークの帯域がひっ迫し、業務に支障をきたすケースが急増しています。業務を円滑に進めるために、ネットワークの輻輳(ふくそう)に強いIPoE( IP over Ethernet )回線の利用、帯域制御装置やSD-WAN( Software-defined Wide Area Network )などのネットワークトラフィックを最適化できるツールの導入も検討すべきでしょう。


さいごに

コロナ禍を機に社員のテレワーク比率が拡大したことで、企業はオフィスの役割を見直す時期に突入しました。今後は、必要に応じて在宅勤務とオフィスワークを使い分けるハイブリットな働き方が主流になるため、場所や時間に縛られない柔軟な働き方ができるオフィスが望まれます。これらを実現するには、業務に最適なモバイルデバイスの配布や業務の電子化に有効なクラウドサービスなど、ITの活用が欠かせません。自社に最適なITサービスを選定し、ニューノーマル時代にふさわしいオフィス改革を実現しましょう。


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