クエストのお客様の医療機器メーカー様では、放射線治療に利用できる病院システムを構築。当社は、HIS(病院情報システム)とRIS(放射線情報システム)の連携システム構築を支援しました。計200人月、2年間超という長期プロジェクト。リッチなWeb画面、厳密で細かい機能仕様、多機能で大規模なアプリケーション設計・開発で高い評価をいただきました。

課題と経緯

医療等分野におけるICT化の徹底は社会課題

医療等分野におけるICT化の促進は政府や各省庁の指針で度々登場し、社会インフラとして医療データの安全な流通による患者の利便性向上、医療の質の向上、医療機関の経営の効率化と診療の向上を目指す、共通の課題となっています。病院システムにおいても、次世代の社会インフラの一翼を担うシステムの準備が始まっています。

電子カルテや病院情報システムは汎用的にパッケージ化されているものの、高度先進医療を担う治療機器特有の要件を実現するシステムは存在しません。唯一無二の高度先進医療にジャストフィットの治療管理システムを開発する事が当プロジェクトの主旨でした。

医療機器メーカーの治療管理システム開発プロジェクトの概要図

導入

大規模開発ならではのオフショア開発体制

通常アーキテクトは、要件定義、基本設計フェーズ迄に兼任でアサインされるケースが多いですが今回のプロジェクトにおいては、ほぼプロジェクト全体を通して、プロジェクト専任のITアーキテクトを配置。診察や治療の現場での使いやすさを追求し、Web上にリッチで複雑なUIを実現した結果、多くの患者の治療を実現できる治療現場のプラットフォームになりました。

また、現場の業務が複雑で機能要件の高い部分については、設計から開発まで通してリードできるSEを配置することで、多くの課題をスムーズにクリアする事が出来ました。

また、大規模システムの開発実施にあたり、中国大連オフショア開発拠点と連携。仕様伝達ナレッジを共有することで、個人差を最小にし成果物の品質を平準化する事に成功。チェック方法の改善や、事前に動作イメージを伝達する事によるセルフチェックの実施で、大きな問題不具合を未然に防ぐことが出来ました。

効果と展望

カルテ、検査画像、投薬記録、治療記録、指導文書をいつでも取り出し可能に

デジタル化による効用は病院内における効率化や生産性の向上のみではありません。病院での検査結果や、診療・入院・治療といった様々な患者に紐づくデータは、デジタルヘルスケアシステムにより何れ患者個人のスマートフォンからのリクエストでいつでも取り出す事が出来るようになるでしょう。

将来は日常的に健康データの収集がされ、毎食何をどのように食べたのか、運動や姿勢の状態、集中やストレスの度合まで、関連する数値の変化と共に記録されるかもしれません。製薬関連や遺伝子検査、介護や健診データまで流通し、健康寿命延伸に寄与する基盤は加速度的に整備されます。勿論現時点では仮定のお話が含まれますが、法整備やセキュリティ技術の進展によりそのような姿は、近い将来に迫っています。